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■■□■■  物┃流┃現┃場・見┃た┃ま┃ま・感┃じ┃た┃ま┃ま┃   □
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□■■    2011/6/5 NO.439              □□■
■■     『物流の5大基本戦略』物流の新たな役割      □□■□
■      物流改善のヒントhttp://avance-tokyo.com    □□■□□
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■大災害で失われた多くの魂と被害に遭われたみなさまへお見舞い致します。
そして全力で奮闘している全国の物流マンに深い敬意と感謝を致します。

●東北地方の復興遅れに何ともやるせなさが続きます。せっかく助かった命が町
の再興に仕事や使命を探している方々の奮闘がなかなか聞こえてきません。流さ
れた工場や会社を自己責任だけではとうてい復活できないのに、行政自治体政治
のサポートが弱すぎて、いたずらに時間ばかりが過ぎてゆく。

ガンバレ日本、なんて無責任なスローガンばかりでは、具体的な作業にはならな
いのです。がれきを処分して、敷地の計測をきちんと行い、土地の所有権を明ら
かにしなければならないのに、行政マンが足りていません。義捐金の次には規制
緩和か、新しい特例措置が必要なのに政治が政局となって、この国の不幸が続い
ています。

●離れた地にいてできることが募金やボランティアだけでは、復興は遠のくばか
りなのです。飲食店舗や小売業を縛っている保健所規制や法令を排除しなくては、
仮設店舗すら運営できず、大切な健康と安全すら維持できない復興特別法案とい
うものを直ちに整備していて頂きたいものです。

物流ができることはたくさんあるのに、法令や規制が機会を奪っている現実。も
っと広報、啓蒙活動を続けて世論形成が必要なのです。

●物流の役割、企業の生産販売機関の支援活動とは、本当のところどんな目的が
あるのでしょうか。今まであまり明らかにされてこなかった5つの企業戦略、た
った一つの最高戦略について整理してみます。

企業活動は顧客の創造である、と看破したのはドラッガーでした。マーケティン
グ活動が新しく改訂されて4つのPなどという曖昧さから明確な制度を明らかに
したのが、2007のアメリカンマーケティング協会の定義です。

『マーケティングとは、顧客、依頼人、パートナー、社会全体にとって価値のあ
る提供物を創造・伝達・配達・交換するための活動であり、一連の制度、そして
プロセスである。』

工場なきメーカー、店舗なき小売り、従業員なきNPOやボランティア活動が様
々なサービスと商品を提供して圧倒的なファンを形成しています。すでに企業活
動はヒトモノカネ情報という固定資産から解放されつつあるのです。

すると、従来の企業機関もアウトソーシングや事業提携、経営統合によって部長
は不在となり、オートマトンという全自動化された機関連携は、大切な頭脳を文
章や契約書、場合によっては一人一人の心の中にしか存在しません。

●企業が企業であり続けるには、他社との差別化戦略が必要と提起したのが、マ
イケル・ポーター。5つの企業戦略は企業体の組織や構造、制度がどのように変
化しても存続のための戦いと喪失の脅威を明らかにしました。

5つの戦略とは、企業に帰属する人びとが何を意識して心がけ、何のための活動
を行わなければならないかを明らかにしています。

1 陳腐化と競合との戦い
 :権力は腐敗する、という諺どおりにマンネリの危機は常にあり、歴史ある大
企業は自らの原因によって競争から脱落していくこと、すでに日本の企業でも多
くを経験しています。JR,JALなどはその例にあたります。東京電力もその
イメージが連なります。

2 得意先、仕入れ先との戦い
3 得意先、顧客との戦い
4 突然現れる競合、新規参入者との戦い
5 徐々に登場する代替品、サービスとの戦い

 :自分を中心とするなら4方に脅威があります。仕入れ先、販売先、新たな新
規参入者、そして考えもしなかった自分の没落につながる代替品サービスの登場
販売には科学が必要なように売ることは至難があり、購買は自らの地位を確保し
て優位に立てるという原理がありましたが、今は複雑に絡み合ったサプライチェ
インと驚くべき速さで進む社会や消費者の変化が脅威になります。
 

5つの脅威は存在すら気づかずに、ある日突然目の前に現れます。消費者嗜好や
価値観の大変化、情報システムの新手のサービス、そして今までの常識が覆され
始めて、自らの変化の遅れに気づくのです。

●5つの脅威に対する戦略が必要だと述べて、その子細を解説するのがポーター
ですが、その論調は難解なので表層的な理解だけが広まりました。
マーケティングの手法や販売のテクニック、購買技術や情報収集の重要性ばかり
が言われて、その実急激な変化に備えてきた企業はありません。

コツコツとポイント制度を続けてきた企業が、グルーポンというネット企業が一
瞬にして席巻すると、今までの正札商法が二次流通の競争に巻き込まれます。
今までの努力は完全に忘れ去られて、むしろ新たなサイトを作らねば販売チャネ
ルすら維持できなくなる事例が増えてきました。

レコードCD産業がアップルに席巻され、追従していたSONYが自己破壊を始
めたのも脅威に備えが足りなかったからでしょう。同じようにすべての産業で昔
から分かっていた敵におびえ始めています。

生産も販売もほとんど定義することが全くの笑い話になってしまう事例が21世
紀に入ってから、続々と増え始めていることに気づかねばなりません。

コツコツとした実直さや品質だけにこだわった物づくりが、むしろ存在を脅かし
ているのです。自己陳腐化こそが最大の脅威であることに、変化だけをスローガ
ンにしているだけでは手遅れになってきました。

●もうお気づきでしょう、物流の役割も定められた目前の商品やサービスをJI
Tをコンセプトとした適正という価値観では足りないのです。

顧客の創造という拡大や深耕を目指すのに、業界が巻き込まれつつある脅威に対
処しなくてはならない。物流は最終最後の顧客接点を持ちます。マーケットとい
う具体的なイメージを持てるのは、物流だけなのです。データ分析や市場調査は
過去のマーケットを見ているに過ぎず、そこには変化の兆しを感じる余裕はあり
ません。

5つの脅威に対処する物流というものが、今求められている物流の新たな役割な
のです。もちろん時間は止まらずに流れてゆきますから、今の瞬間に必要なこと
はJITであることは当然です。適時適量のモノが、あすも同じモノである保証
はない、ということを気づきながらの活動であることが重要です。

●脅威を乗り越えるには、さらに大きな戦略が必要です。
いつの時代もこれからも決して陳腐化しない商品やサービス、そんなモノがある
のかと疑うなら、自らを顧客となって振り返ればよろしい。

今何に不満を持ち、何を渇望しているか。満たされない不安と救われることのな
い恐怖がどこからやってくるのか、人生を終えるまでに本当の幸福がどこにある
のか。人類や私たちの幸福が何によって満たされるかを考えるとき、金額ではな
く新しい高福指標を探しているのは、鈍感すぎるます。

○いつまで健康と栄養に不安がつきまとうのか
○年齢とともに社会での存在感が失われる恐怖
○人生を充実させ、安心して住まえる住宅の模索
○所得と幸福感を一致させる金融サービス
○地球と資源を維持するエネルギー

こちらの5つは、誰にでもどこの社会でも国々でも求められている、明らかにな
っているニーズです。商品やサービスがないことすら不思議な状況にあります。

物づくりやサービス開発がこの5つに向かうとき、脅威は一瞬にして消え、圧倒
的な優位が生まれます。新たな事業化計画のモデルと言えるでしょう。物流はこ
れを設計しなくてはならない。

5つの脅威に対抗する戦略を描き、最高の戦略を実現する物流を設計したとき、
競争はなくなり、不戦勝となるのです。


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