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■■□■■  物┃流┃現┃場・見┃た┃ま┃ま・感┃じ┃た┃ま┃ま┃   □
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□■■    2011/6/15 NO.440              □□■
■■     『次の商品は物流』物流は切り出せない       □□■□
■      物流改善のヒントhttp://avance-tokyo.com    □□■□□
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■大災害で失われた多くの魂と被害に遭われたみなさまへお見舞い致します。
そして全力で奮闘している全国の物流マンに深い敬意と感謝を致します。

●全国的に国難状況が続いている。政治や外交、防衛や国民生活への不満や不安
が東日本震災の影響、原発問題とも絡み合って、企業活動や景気に先行きが見え
ない。

企業は月末の株主総会へ備えてBCPの見直しや想定問答に苦戦している。必ず
問われる「再び震災が関東関西に起きたらどうするのか?」一筋縄の対策計画で
は具体性がない、実現可能性の検証が足りないと追求されるのは必死だ。

●危機は常に起きる、人知を越えた自然の脅威や重大なマネジメントのミス、マ
シンは故障するだろうし、システムだって想定外の前提条件が入力されて突然破
綻する。国家に頼っているインフラだって、今この調子であり、隕石を怖がらな
くても、上空からはミサイルが落下する確率は案外高いものだと信じられている。

天災や事故を想定することは不可能だし、だから不確実なことだけが確実だと言
われているのだ。何が起きるかを想像することは難しいが、何が起きても覚悟を
することはできる。命が失われたらどうするか? 最悪の状況とは中心人物であ
る私の命がなくなること、そうしたときに周りの家族や人々は私の意思を受け継
いでもらえるかどうか、そのために何を準備すればいいか。

●覚悟とは失うことを想定することであり、それは可能だ。物流や経営に必要な
財産や資源は何か。人や施設やシステムや機材、そして準備資金。それらが災害
によって失われることを覚悟すれば、何をすればよいのかを考え始めることが出
来る。起業に必要な5つの資源、従業員、商品、設備や施設、資金、情報システ
ムの5つが失われることを覚悟して、回復することを企画することがBCPその
ものでなくてはならない。

ゴーイングコンサーンと言うのは、CONCERN=憂慮、課題、悩ましさでも
あるのだ。継続にはややこしさや不確実、不安や不明があるからこそ、先見性が
優れた経営に欠かせない。災害は人知を越えて降りかかるが、回復のための仕掛
けは、人災対策として準備しなくてはならないこと、この度の災害で明らかにな
った。

BCPとはリソース喪失の対策でなければならない。100%完全に喪失したら、
80%なら、50%ならどうか。ケース別のアクションシナリオを準備するなら
どうにか出来そうだ。

●BCPによってどこに戻すのか。被害や損失によって競合よりも、他社よりも
周回遅れ、出遅れること確実で、同じところに戻るのも難しいが、戻ってもずい
ぶんと後方に位置することになる。競争には負けるのだ。

今、日本の産業はすべてがBCP準備状況にある。りーマンショックから戻って
いない。華々しい1989年のバブル期からもほど遠い。アジアは沸騰している
のに日本だけが取り残されている。GNPは停滞し、人口ボーナスもないし、購
買力や画期的な新商品もない、消費者は高齢化してさらに先々は消費を押さえる
傾向に向かっている。子どもは生まれないし、住宅も自動車も飽和状態にある。

●製造業や流通業に明るい未来はなく、こだわりや頑固に「もの作り立国」を再
びとスローガンが空しい。職人技や先進工場はそれだけでは世界に知られること
はなく、もの作りは流通物流と広報があって産業として成立する。

今までの延長ではなく、類似していなく、色違いやサイズ違い、価格の安さでは
ない創造的破壊によって次の商品が必要なのだ。企業や商品のライフサイクルカ
ーブは、連続しないS字を描かなくてはならない。没落、喪失、絶望の中から不
死鳥のようによみがえる商品が必要なのだ。ファミコンだし、ウォークマンのよ
うに、衝撃と共に受け入れられる商品が必要なのだ。スマートフォンでは役不足
だろう。

●日本発アジアや世界で受け入れられる商品やサービス。それを目指すのが企業
の継続計画=BCPそのものでなくてはならない。戻る位置はさらに高見でなけ
れば足りない。

ドラッカー再評価の流行である。顧客の創造、利益は条件、マーケティングとイ
ノベーション、真に人資産を活用するマネジメントの極意。
『マーケティングとは、顧客、依頼人、パートナー、社会全体にとって価値のあ
る提供物を創造・伝達・配達・交換するための活動であり、一連の制度、そして
プロセスである。』

イノベーションは驚きを伴う革新。商品やサービスそのものが驚きを持って迎え
られるためには、研究開発も必要だが、1億台を販売してしまった携帯電話会社
にスマートホンの発想と発見はできなかった。ニーズを探しても次の商品は見つ
からない。改良の延長に幸運で新しいヒットを打ち出すことは出来るかも知れな
いが、あまりにも不確実だし保証がない。

●ニーズオリエンテッド=消費者重視の商品開発、とはいうものの驚きの商品は
ニーズからは生まれていない。顧客が予想する商品には驚きがないし、大ヒット
はしない。あなたの商品の延長には大ヒットはあり得ない、と考えるのが現実的
な楽観による評価だろう。

しかし、明かなニーズがあるのに商品化やサービス化が始まっていない商品があ
る。それが社会ニーズという誰でもいつでも感じている不安や不満、あきらめて
いる達観というものだ。

○いつまで健康と栄養に不安がつきまとうのか
○年齢とともに社会での存在感が失われる恐怖
○人生を充実させ、安心して住まえる住宅の模索
○所得と幸福感を一致させる金融サービス
○地球と資源を維持するエネルギー

これを満たす商品やサービスを復旧した後に絞り込み、徹底し、極めて行くこと
を目指せば、周回遅れや落伍の地位挽回も不可能ではない。

●大災害と共に国難が降りかかり、商品やサービス=GOODSグッヅは不振と
なっている。代わりにバッヅBADS=ゴミ、がれき、賠償金、罰金、・・・・
がGNPの落ち込みを埋めてゆくだろう。

GNPは入金から支払いを控除した付加価値分だから、失ったものを作り直すの
もGNPだし、賠償金もGNPなのだ。あなたの企業が復興してゆくときに付加
価値を求めるなら、今までの事業では遅れている、間に合わない。

失われた20年間の間に製造流通マーケットは全く成長できていない。モノは売
れないし、激しいのは小さくなるパイを奪い合う競争だけなのだ。

ではGNPはどこに移って行ったのかは、明らかかで国策として企画された金融
・サービス業なのだ。決してもの作りではないが、優れたモノをサービスとして
販売することもサービス業界の取り分になる。

☆自動車を売るのではなくシェア利用させる仕組み
☆印刷機を売るのではなく、駐在して印刷物を代行する請負業務
☆住宅を売るのではなく、長期利用権利を販売するレンタルなのかリースなのか
☆商品材料を売るのではなく、調理済み弁当を提供する食堂、宅配

☆あなたの商品を売るのではなく、物流で提供する☆☆☆サービス

これこそが国難に対応するBCPであり、戻るべき場所なのだ。

物流をコストに任せてアウトソーシングしている場合ではないのだ。マーケット
を調べ、自社に革新をもたらすには、物流をもう一度手元に引き戻す必要がある

物流アウトソーシングは自社のゴーイングコンサーンにとっての大リスクである
ことが証明された、というのが大震災の教訓であることに気付きたい。

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