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■■□■■  物┃流┃現┃場・見┃た┃ま┃ま・感┃じ┃た┃ま┃ま┃   □
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□■■    2011/6/25 NO.441              □□■
■■     『日本のBCP』企業のBCP要求が高まってる   □□■□
■      物流改善のヒントhttp://avance-tokyo.com    □□■□□
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■大災害で失われた多くの魂と被害に遭われたみなさまへお見舞い致します。
そして全力で奮闘している全国の物流マンに深い敬意と感謝を致します。

●物流BCPの原稿を仕上げました。事業継続計画=BCPは来年からISO化
とJIS規格にもなって、多くの企業で義務化というかブームになります。
今年の株主総会では必ず出る質問が「東海沖大震災があったときにどうするか」
というのがあります。

企業にとっては避けられない災害対策の為に、BCP策定が必要です。
95年の阪神淡路大震災から、BCP策定は助成金やガイドラインの提供によ
って多くの企業が取り組んだはずですが、実態としては計画倒れというか、作
ったけど更新や改定をしていないので、今回の発動ではあまり役に立たなかっ
たという経験があるはずです。

●BCPの前提は、震災や火災洪水、インフルエンザや停電などの「想定災害」
に対する予防や対応計画なので、そもそもは複数の策定が必要になる、という
のが作業的な負荷になっていたのです。

今年も東京都では35社をモデル事業としてBCP導入支援を行い、3月15日
に事例発表会を予定していました。震災の影響で流れてしまいましたが、各社の
取り組みもインフルエンザ、停電、ウィルス被害、地震などと多岐にわたってい
ました。担当者のアンケートや座談会も記録されていて、とても興味深いです。
『東京発、事業継続計画』という専用のHPも作られていますから、参考にされ
ると良いでしょう。

●作るの大変、というのが一般的な感想と反応です。確かに起きるだろう災害を
想定することは、現実的に無理があります。そんな余裕ないし、大事だろうけど
本業や日々の仕事が忙しいので、「もし、たら?ゲーム」に付き合う余裕はない
でしょう。

BCPを策定済みの大企業では、専門のプロジェクトを立ち上げて短期間で一気
に作業しているのが実態ですから、内容が十分だったとは決して言えない。
今回だって、計画停電には備えられないし、発電機の稼動も燃料手配までは含ま
れていなかったのではないでしょうか。

●災害を想定したとたんに、誰もが仕事や得意先のことなど考えない、というの
が本音ではないかと思います。地震や洪水、ウィルスやテロなどがもし起きたら
真っ先に家族や友人の安否を探るのではないか。そのあとで落ち着いたら会社や
事業のことを考える余裕が出てくる。

だから、最初に手がけるのは「私のBCP」だと思います。
携帯電話や手帳のページに、いざというときの連絡先や手配のこと、きちんと記
録しておくべきだし、「最悪の事態ということは、自分が動けなくなること」で
すから、他人にも読んで分かるようにしておかねばなりませんよね。

自分のこと、家族のこと、自分の仕事や自分のかかわり先、自分が動けなくなっ
たときの迷惑が及ぶ先、心配する人々のことを細かに書いておく。

●みんなのBCPには、こんなパーソナルなことから仕事関係も必ず出てくるは
ずです。「人は財布で人柄が分かる」というのは、財布の中の写真や会員証、買
い物メモやレシートで行動範囲が分かるからです。

みんなのBCPを寄せ集めれば、組織やチームのいざというときのBCPになっ
てくるはずです。これなら作る気になるだろうし、作らねばいけない、毎年見直
さなければならないということになる。

●BCPの本当の狙いは、企業がゴーイングコンサーン(継続)を確保するため
の活動資源の復旧を行うものです。
人もの金情報が失われたとき、企業は廃業するか継続するかの判断を迫られます。

資源=リソースが100%失われ、経営者も行方不明になったら継続はできませ
ん。事業撤収が選ばれるでしょう。では、リソースの喪失が50%ならどうする
か?30%ならどんな支援や協力が必要なのか。これこそが、BCPの本質では
ないか、と考えて原稿を積み上げてきました。

●もうひとつの問題提起はBCPが目標としている復旧=操業度が100%とい
うリカバリーの点です。1ヶ月や3ヶ月も遅れを取れば、F1レースで言えばピ
ットインのために周回遅れを起こしたのと同様。競争に勝てますか、戻ったらそ
れで良いのですか。という不安です。

今回の震災を機に、事業縮小や転換、商品削減を図っている企業があります。
シャープ亀山工場はテレビパネルをスマートフォン専用に転換しようとしてい
るし、食品会社は大規模なアイテムカットを準備しています。
周回遅れを挽回するには、戦う場面を変える必要があるからです。

同じところへ戻すのではなく、土俵を変える、次元を変える、事業選択を徹底化
する、というのが継続と強化のためのBCPではないか、と主張しました。

●最後に3.11前の日本はちっとも平和でも幸福でも好況ではなかったのだか
ら、日本にもBCPが必要ですが、それが復興構想会議で「創造的復興」を目指
しています。

終戦後に区画整理が行われ、環状道路と大通りが東京を整然とさせました。公園
は避難地として大火災に備えています・
神戸は震災後に新しい観光と医療と文化の街に変わりました。
ファッションと貿易と風見鶏の館から様変わりです。

さて日本はどのようにデザインされるのでしょうか?
物流の役割というか、商材が大きく変わってくるでしょう。

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