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■■□■■  物┃流┃現┃場・見┃た┃ま┃ま・感┃じ┃た┃ま┃ま┃   □
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□■■    2011/7/25 NO.444              □□■
■■     『物流アウトソーシングは危険』大震災で分かった事 □□■□
■      物流改善のヒントhttp://avance-tokyo.com    □□■□□
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■大災害で失われた多くの魂と被害に遭われたみなさまへお見舞い致します。
そして全力で奮闘している全国の物流マンに深い敬意と感謝を致します。

●BCPを発動して4ヶ月が経過しました。生産工場や物流施設の復旧はなった
のでしょうか。壊れた物件は修理や建て替えによって戻すことができますが、事
業の得意先や調達先は戻れません。時間を取り戻すことはできないのです。

BCPは稼働率を戻すことで精一杯、その先の過ぎ去った時間を取り返すことは
できず、レースならばピットインしている内にすでにフラッグが振られてしまっ
たかもしれないのです。

●迅速な復旧には原材料資材の調達と入手不能となった代替商品の手配と仕入れ
が必要です。それは物流の手によってしか行えず、物流手段としての車両や施設
がなければ、手をこまねくしかなかったのがこの度の事態で明らかになりました

物流を完全アウトソーシングしていることのコストメリットは、緊急事態では肝
心の手配が滞り、パワーマネジメントによって後回しにされたからです。リスク
を全部引き受けてしまったのは、アウトソーシングの弊害でした。

●被災地域の物流問題は、JIT弊害を指摘されています。物流センターの二重
化、輸配送の複線化を怠っていたから、商機を失ったのだと。責める部門と受け
る部門に良心がゆがみました。

品そろえができなかったスーパーは、必死に集めた商材で日々を凌ぎながらも好
調な売上を確保して、更に最高益を計算しました。店舗被害は別勘定ですから、
粗利益を計上できたのです。

燃料不足の輸送業者は限られた車両に積載を満たして、定刻通りの運行ができま
せんでしたが、配送の労をねぎらわれてこちらも粗利率が上がりました。

●販売活動も物流活動もこの災害によって、本質を見せられた気がします。
特売や時間指定配送がどれだけ粗利益を削っていたのか、利益なき繁忙を招いて
いたのか、終わりなき競争に勝者がいたのかどうか。

失われた施設や器材、工場や漁船、加工場や住宅などが16兆円と試算されまし
た。復興予算がなければ再建できないと言います。自己責任で有利融資を準備し
たから、経営者よもう一度融資書類を作るようにと促されています。

どうもおかしい、と気づいた善意の方々は民間ファンドを構成して、店舗、商品、
漁船、倉庫、コンテナを送り込んでいます。失われた資産は作り直すしかなく、
そこに国の支援がなければ計算が合わないのです。製造も流通も加工も物流も中
小企業では資本蓄積が足りず、新たに融資や増資を受けることは実質的に不可能
なのにも関わらずです。

●粗利益が少ない原因が明らかになりました。無理な販売、過剰な物流、売ると
いう実は単なる移動であって、売れ残りは自己責任どころか製造者への返品でま
かなって来たからです。

売れるだけ作り、送り込む。売れ残りを無くすための在庫計画と物流計画という
理想は、しがらみの多い商談では不可能でした。今、この理想は東北で実現でき
るでしょう。ゼロからのスタートだからです。

●生産流通の被害は復旧の手がないからでした。実は代替品の調達や手当がある
のだけれど、手がなく足がないからでした。物流の不足なのです。頼んでいたか
ら、いざと言うときに頼めなかったのです。

アウトソーシングの弊害が明らかになりました。自己責任なら仕方がないでしょ
う。代替手段も自己責任だからです。

●「この際すべてを見直して〜〜」再び現状否定のブームが始まっています。
今までの努力や常識を疑い、新たに組み立てようとしている姿が目立ちます。
若人ならついて行けても、ベテランには辛い一言です。しかし、産業がなくなり
雇用が失われたゼロの大地には、ふさわしい言い方かも知れません。

この際、物流も見直しましょう。アウトソーシングが果たして良かったどうか。
手がなく足がなく、工場や店舗を離れたマーケットの情報が手に入らない事態
が続いたとき、物流の重要性に気づいたのでしょう。

●営業も生産もM&Aに敵う方法はありません。競合を取り込み、差別化を停止
することだからです。10%の努力は買収には敵わないのです。
しかし、物流は切り離してはいけなかったのです。コストで見てはリスクを負い
きれないことが分かったのです。

この国は新しい産業の宝庫です。自動車や住宅以上に大きな産業が登場するでし
ょう。低成長であっても業種の超越した産業が台頭して、進化のない産業は退場
するしかないのです。

物流は業界を越えてゆきます。願えば国境も越え、陸海も自在ですから。
競争は規模から機能に変わっています。日本のノウハウは世界で通用する、人と
モノの扱いには長けているのです。競争が厳しいのではなく、土俵を変えればま
だまだチャンスはたくさんありますからね。


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