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■■□■■  物┃流┃現┃場・見┃た┃ま┃ま・感┃じ┃た┃ま┃ま┃   □
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□■■    2011/8/25 NO.446              □□■
■■     『迷う物流』正しい選択、課題観の持ち方      □□■□
■      物流改善のヒントhttp://avance-tokyo.com    □□■□□
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■大災害で失われた多くの魂と被害に遭われたみなさまへお見舞い致します。
そして全力で奮闘している全国の物流マンに深い敬意と感謝を致します。

●物流活動は製造販売の後方支援であり、前面に登場することはありませんでし
た。しかし、このたびの東日本大震災では、救命物資や失われたサプライチェー
ンの緊急代替手段として、物流が前面に出てゆく場面が本当に多くありました。

頼りになる物流という評価ももらえたし、何があっても物流手段の確保が最重要
だというリスクマネジメントの洗い直しに物流が取り上げられたのも、長く地位
向上に苦労してきたからこそ、ようやく陽の目を見た思いがあります。

●災害によって物流の重要性が評価されたなどというのは、「病気になって健康
の有難さを実感した」というような嬉しくない事情です。
けれども、今までの物流活動がコスト評価を重視されるような、経営にとっての
非付加価値部門から、実は事業の中核を支えている貴重な活動であることの再認
識を受けたことは、たまらなくうれしい事態であることは認めましょう。

物流が宿命のように取り組んできた、高速、高精度、低コストの問題改善の継続
あってからこそ、いざというときの規定を超越した柔軟性や相互扶助の自由度を
発揮できたのだと思うからです。

●道路が閉鎖され、目的地が失われ、走るための燃料や車両に重大な制限がかか
ってしまい、操業中断してもおかしくはないのに、道を探し、燃料を工面し、仲
間どうしで災害地に向かうドライバーがいました。

倒壊した倉庫の停電による暗闇やシステムダウンを覚悟して、ひたすら手作業と
黙々と商品整理を続けていた倉庫マンもいました。「出来ることを、出来るとこ
ろから始める。始めればいつかは終わるでしょうね」つぶやいていたセンター長
もいたのでした。

東北に限らず全国の物流現場で、静かな物流復旧が行われていたのです。

●経済合理性や効率の追求が、発電の安定供給や企業規模の拡大という後ろ支え
を受けて、日本の原子力行政が続いてきましたが、落とし穴にはまってしまいま
した。社会インフラにも物流は欠かせず、電力業界にも物流部門は存在します。
止められない発電や操業のために、陰には多くの物流マンが働いています。

電力使用制限を回避するためにも物流部門が、発電機のメンテナンスや燃料の補
給計画に参加しています。

復興日本の旗の下、失われた魂をいとおう為に土木工事や復旧作業が続き、物流
は再び活況と繁忙を極めています。昼夜を問わずの復旧活動には、物流もまた重
要な役割を担っているからです。

●すべての産業、生活、人生、政策や行政、警察消防防衛外交の陰には物流活動
があり、どこかの誰かがこなしてくれていたのです。今回、たまたま脚光という
か注目を浴びたに過ぎない物流活動が、今、大きな試練というか迷いを持ってい
ます。

それは行動基準であり、価値観であり、仕事の使命観でもあるのです。
高速、精度、コストのような大命題がこれからも続くのだろうか、という迷いと
これからの活動に必要な大義や新しい行動原理、価値観、目的の再設定です。

●活動改善にはコストや精度の目標があって当然です。競い合う指標がなければ
意欲は半減し、成果も出せません。しかし、そのことだけを目的にすれば、今回
の災害で明らかになった安全率、余裕率の薄さがリスクとなってしまいます。

たまたま熱意ある物流マンの活躍が評判を生みましたが、これとて本来ならば組
織活動からは外れた、危険なスタンドプレイとみなされてもおかしくないのです。
「止まらない物流」や「有事の際の物流」には、備えが足りません。どれだけ強
化しても、想定外の事態は起こるし、システムやハードの二重化、複合化は万全
にはならないからです。

むしろ、物流マンのマインドセットや自立性のほうが重要でしょう。
凋落からの復活には、リジリエンスという回復力が必要ですが、それは外部要因
よりは、社風や組織、個人がもつ意欲や願いに通じています。
復活の使命感を外部から強制したり、制度で高めることはできないからです。

●物流は人とモノの大量処理に長けてきた業務活動ですが、上位の製造販売がそ
の規模や量を失ったとき、物流は実にあっけなく方向を失ってしまいます。
けれども、企業がリジリエンスを発動する時には、また物流が最優先で行動を起
こさねば何事も始まらないのです。

だから物流は経営戦略にきちんと組み込まれているのだ、という説明には納得で
きず、新しい行動原理を求めて迷い続けているのです。販売製造の上位の動向や
外部の変化に対応するためだけにあるのかと。

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