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■■□■■  物┃流┃現┃場・見┃た┃ま┃ま・感┃じ┃た┃ま┃ま┃   □
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□■■    2011/9/25 NO.449              □□■
■■     『石巻、南三陸で』見えるモノ、見えないモノ    □□■□
■      物流改善のヒントhttp://avance-tokyo.com    □□■□□
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■大災害で失われた多くの魂と被害に遭われたみなさまへお見舞い致します。
そして全力で奮闘している全国の物流マンに深い敬意と感謝を致します。

●彼岸の休みを使って家族で東北ドライブ、石巻、女川、南三陸を回って来まし
た。中学生の娘には被害の生映像を見せたかったし、南三陸の観光ホテルが健在
だったので安全だと思ったからです。現地に長く入り込んだNPOの人に案内し
てもらい、商業施設や水産工場も見聞してきました。

●写真や映像で見る風景は人ごとです、テレビや雑誌を眺めている部屋には別の
空気があるから、現地に立つ印象とは全く違います。ほこりとわずかに残る匂い
が惨状を際だたせていて、屋上に取り残された車や漁船に娘も言葉がありません
でした。知ることの違い、現地での実感がこれから何を生み出すか、遊山の旅行
とは違ったわが家のアルバムができた思いです。

●各自治体の苦戦は補正予算の有無にかかわらず、人手不足、計画不足、戦略や
エネルギーの不足に悩んでいます。石巻は仙台に次ぐ大都市ですから、大型商業
施設は完全に復旧して、多くのお客を迎えています。品そろえは東京と寸分違わ
ずに、全国の名産が並びます。「がんばっぺ!東北」のポスターがなければ、外
見からは何も見えてきません。

市街地は未だに停電地帯があり、特に交差点には警察官が交代で昼夜整理に立ち
ます。東日本全域の警察官やパトカーがあちこちに駐車しているのが、はじめは
わかりませんでした。駆り出された警官の多くが、交差点に立つのは防犯効果も
あるでしょう、辛抱強い県民性と重なって剛健さが出ています。

●北海道から秋鮭やサンマが大量に届いている様子で、多くの水産工場が操業を
再開しています。個人商店は共同店舗を開けていますが、観光客が集まらなけれ
ば売上に苦戦しているのも当然です。広報が足りず、顧客が足りず、閉じた商店
街には歩く人がいません。
サイボーグ009の等身大のフィギアにも汚れが残り、町おこしがまだ始まらな
いのです。

●南三陸には大型観光ホテルが、ボランティア団体や建築業者の滞在先として賑
わっています。かつての5つ星は、せっかくの高級料理があるのに味を楽しむ客
はいません。海岸線と一体化した露天風呂を何度も楽しんだのは、私だけだった
かも。

当初600名の避難住民を抱えた女将さんが、復興には経営者と子どもたちがこ
の地に残ることが必要だと話されていました。雇用や職場を作らねば、仮設住宅
から町を離れてゆくばかりだから、深刻な課題が残されていることを聴き、真っ
平らになった市街地を遠く臨んで言葉がありません。

●消えた商店街や流された水産加工場なのに、旅館には水産品のチラシがありま
した。産直、通販のお知らせでしたが電話とFAXしかありません。ホームペー
ジもネット通販のモール案内もありません。観光客はお年寄りが多かったからで
しょうか、観光バスの到来にまとめて配るチラシだからでしょうか。

売るための方法、お客を待っている商店街がどこにあるのか、出会う方法があり
ません。災害復興には産業振興が必要だけれど、職場を作るには顧客が必要だし
売るもの、売る方法、お客が出会わなければなりません。

水産品はクール宅急便で全国へ販売が可能だし、住宅建材や材木や資材はトラッ
ク物流でどこまででも運べます。

必死で作っているものを、善意で買いたくても出会えない現実がここにもありま
した。

●三陸は水産業の街と決めてかかるのも間違っているかも知れません。多くの自
然と風景が、海外と名勝とは違う雰囲気を生んでいます。日本らしく、日本だけ
でない産業に向ければ、かつての敗戦後に計画されたアジアの観光立国政策が生
きてくるかも知れません。

日本は中小企業と地方自治、それを支えるための観光産業を敗戦から数年間、具
体的詳細に計画が進められました。だから大企業は解体され、銀行も規模を抑え
られ、マッカーサーが全国の風景写真を集めていたのです。

人が欲しい、仕事が欲しい、早く復興のための街を作りたい気持ちは痛いほどに
伝わりましたが、デザインの組み直しが必要です。
津波被害にあったところに同じ建物は建てられないし、駅もずらさねばならない。
少ない平地には高さのある大規模な施設が必要ですが、ハコもの行政は繰り返せ
ない。デザインコンセプトの迷いがあります。

壊れたものを作り直すとき、もう一度、歴史と未来を見据えることが必要です。
そのことを多くの日本人と共有するために、観光バスの駐車場と最小限の休憩所
などを整備すれば、そして見せたい、分かって欲しい災害状況のビューポイント
を作り出せば、観光産業のスタートが切れるでしょう。

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