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■■□■■  物┃流┃現┃場・見┃た┃ま┃ま・感┃じ┃た┃ま┃ま┃   □
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□■■    2011/10/5 NO.450              □□■
■■     『ポジティブシンキングの落とし穴』楽観論では×  □□■□
■      物流改善のヒントhttp://avance-tokyo.com    □□■□□
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■大災害で失われた多くの魂と被害に遭われたみなさまへお見舞い致します。
そして全力で奮闘している全国の物流マンに深い敬意と感謝を致します。


●製造流通サービス業に物流は欠かせない役割になっています。マーケティング活
動は自社と市場の顧客をつなぐ科学ですが、商品先行、営業主導、顧客歓迎の結果
物流が能力不足を起こすと大問題になります。

前に流行したポジティブシンキングというのは、どんな状況下にあっても前向きに
考えよう、決してくじけてはならない、きっと何とかどうにかなるさ、という楽観
重視の姿勢でした。むしろ、自分自身を奮い立たせる、どんなにひどくても
「明日はまた別の風が吹く」=名画風と共に去りぬ、なんでしょう。

ところが、このような楽観は、時として「都合の悪いことは考えない、見ても見な
いこととして、振り返らずに先に進もう」という、ご都合主義につながります。
どんなことがあっても、ガンバロウとこえを挙げれば、それでヨシ、という風潮に
もなってしまいます。

●後方支援は影の主役のことだが

大雪が降ったり大規模災害があると物流が停止してしまいます。仕方のないことで
すが、不測の事態を予測したり備えることはコストが上がってしまい、物流部門だ
けでは対処できません。ビジネス・コンティジェンシー・プラン(BCP)とは大
規模災害に備えたバックアップや早期復旧事前シュミレーションのことですが、事
業のリスクは物流に現れることが多いのです。

いつもは影だけれど、いざとなるとブラックボックスであったことを後悔するのが
物流の宿命です。いつ誰がどんな風にがんばっているかは関心を持たれませんが、
そこに注目している企業とそうでないのでは大きな違いが生まれます。

●潜在的危機回避という思考法

事故や災害があったとき、想定外の出来事が続くと辛いのは現場のスタッフです。
上席管理職からは『いつも言ってるじゃないか、そんなことも考えてなかったのか』
というお小言と説教じみたイヤミです。<そんなこと言ったって、何の問題解決に
も役立たない!>とほぞを噛んでも仕方ないですね。

めったに起きないけれども、時々、もしくは周期的に起きている事件や事故に備え
ておけるのがオトナのマネージャーです。
物流部門は最終最後の顧客接点にあるわけですから、万が一にも止まったり十分な
能力を出せなかったときには、全体への影響が大きいことを知りながら、でも手間
ひま・コストのことを考えると自らは備えておくことができない。むしろ、そのこ
とを全体に対して情報発信できていないのは、問題を別にしておく必要がありそう
です。

通常のオペレーションは最低のコストと最小限の管理によって運営されていますが、
事故や停止の危険性を情報発信しておかないのは、いつか身に降りかかる悲劇を呼
び込むことになってしまいます。

●どんなことをコミットするのか

止まったとき、失敗したとき、常にバックアップ体制を確保できていれば安心です。
つまり機能の二重化ですが、フェールセーフ(間違えてもサポートするシステム)
はコスト問題を含んでいます。

物流部門が製造販売の後方支援である以上、最小コストでの最高パフォーマンスを
期待されているので、想定外の問題発生には弱い。そこで、業務遂行における約束
事や前提条件、業務定義や明確化というコミットメントルールを制定しておく必要
があります。

○荷受とはどんな作業なのか
○入荷検査ではどこまでするのか、何を基準なのか
○保管はどのように行い、どれほどの上限や制限があるのか
○出荷作業はどんな作業で、どの手順で行われるのか
▲つどの指示は禁止、口頭や非定型での命令も禁止
▲何事も予定に対して実行を行い、イレギュラーをなるべく排除 etc.

こんな風に業務内容を定義したり、説明してゆくと、自ずと危険範囲の限界と回避
しようとしているリスクが見えてくるようになります。
時間も手間も掛かりますが、面倒くさがらずに取り組んでゆくと、お互いに目指す
ものが同じ方向を向いていることに気づきます。

特に物流業務を委託している場合には、最終的にも最初にも委託する側の責任が最
大であることに気づくはずです。
「頼んだのだから、何かがあれば弁償せよ」というのは、独り言にしかなりません。

●コミットメントルールが契約書になっている

物流は何らかの形で外部の協力を受けるアウトソーシングで成り立っています。
業務委託契約やアウトソーシング契約では、費用の清算を中心にして義務と責任、
作業の仕様と納期を定めているはずですが、思想の背景にはリスクマネジメントが
抜け落ちていることがとても多いように感じます。

もちろん条文には『定めなきものは双方協議で解決』と必ず但し書きがありますの
で、いざというときに時間があれば!相談協議ができるでしょう。

そのときには、契約の精神である平等性が確保できれば良いのですが大小問題や過
去のいきさつがどうしても頭をもたげてしまし、有効な解決がされるかどうかはと
ても不安ですね。

契約を整備すること、仕様を明確にすること、想定できる前提条件を列挙すること、
いざというときの事故や災害を明示しておくことというのが、物流のリスクマネジ
メント入門ですね。

×物流業務一式を委託する
×つどの指示に基づき作業を完了させること
×未了の作業については清算を行わない
×予定情報に基づき、あらゆる手段で確保することを約す
×要員、車両、倉庫などの物流資源の手配と管理を委託してその責を負う

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東日本大震災の事件を経験して、私たちは次の世代に何を遺さねばならないでしょ
うか。災害は忘れた頃にやってくる、という現実を受けて、ビジネスマンや事業の
継続を続けるためには、100年以上の企業が数万社もある反面、災害を契機に事
業停止や廃止となる企業がありました。

救急医療や人命救済に物流マンの役割も高く評価された、今回の事件を通して、物
流が持っている強さと意義を整理しました。

いざというときには、自分で守り、遺すための『みんなのBCP』を考え出しまし
た。自然災害のデパートのようなアメリカでのFEMA(危機管理庁)や東北企業
の取材も含めて、180ページに一気に仕上げています。

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