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■■□■■  物┃流┃現┃場・見┃た┃ま┃ま・感┃じ┃た┃ま┃ま┃   □
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□■■    2011/11/15 NO.454              □□■
■■     『状況判断の勘違い』この戦略では生きられない   □□■□
■      物流改善のヒントhttp://avance-tokyo.com    □□■□□
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■大災害で失われた多くの魂と被害に遭われたみなさまへお見舞い致します。
そして全力で奮闘している全国の物流マンに深い敬意と感謝を致します。
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●経営や運営の現場では、戦略の誤りは戦術や小手先の工夫では正せない、とい
う鉄則がある。道を間違えて進めば、後戻りするしか先に進めない。今、販売や
製造、組織運営や企業経営でどうしようもなく戦略で失敗している。そのツケを
最前線の販売と物流で何とかしようとしても、徒労と消耗に終わるだけだ。

販売が不調なのは新商品が足りないわけでもなく、顧客へのアピールが心を揺す
らないからだ。隣の競合が値下げしているからでもなく、町全体が買い控えマイ
ンドに被われているわけでもない。

●上場企業の業績が低迷してきたのは、円高による輸出低下、法人税格差による
投資抑制、政策混迷による戦略の不安定が原因ではない。輸出と輸入は常にバラ
ンスしており、輸出企業の好況は輸入企業の伸張によって為替が安定していた。
円高は輸出を抑えるが、原油・天然ガス輸入は好調のはずだし、かといって輸入
産業が景気を牽引するわけではない。

日本経済のGNPに占める貿易収支は、わずかに6兆円(1.2%)の黒字(輸
出額−輸入額)であり、それぞれが60兆円前後の規模しかない。
円高は輸出を抑制して、輸入を促進するから物量への影響は少ないのだ。

貿易量が増えれば景気に影響しないわけはないが、問題は粗利益というか付加価
値のありかである。対米輸出は製品価格の高い製品が中心だったが、今や対アジ
ア圏なので低価格製品がほとんどとなっている。貿易額ではなく、付加価値額が
増えないから、産業が低迷しているのだ。

●法人税が世界でも高いレベル(実効40%)だから、投資が抑制されて工場が
外地に向かっているというのもウソだ。上場企業の内で納税実態を見れば、ほと
んどが免税、納税回避するような連結決算を行っている。エコポイント制度で販
売値引きを支援している企業が、大幅な黒字で納税して国庫に還元している訳で
はないのだ。

中小企業は未だに間接金融(銀行融資の依存率が高い)一辺倒だから、業績作り
のために黒字化が必須で納税に協力しているが、それでも優良法人(通年黒字決
算で納税額が増えている企業)はどんどん減ってきている。
税収が足りずに赤字国債が同額なのは、その証拠であって税率問題ではないのだ。

●景気浮揚のために道路やインフラにじゃぶじゃぶ注ぎ込んだ建設国債は、今や
建設業のシュリンクによって受け皿がなくなっtきている。有効需要を土木建設
によって創り出そうという政策は失敗しているし、エコポイントや助成という国
庫による値引き効果も終わっている。
売れないのは別の理由があるのに、試行錯誤している場合ではない。

●GNP約500兆は生産・販売額ではなく、付加価値額である。どの産業に粗
利があるのかを示していて、産業構造は昔から流通小売りのサービス業に偏在し
ているのが、日本の特徴なのだ。国内消費国家60%300兆円がサービス業の
ほとんどを占めている。アメリカは1500兆の75%が国内消費に向けられて
きたが、住宅産業の崩壊で危うくなっている。

●中国は突出した軍事費を考慮しても、まだまだ公共投資やインフラで付加価値
を生んでいる。沸騰中国で550兆円の届こうとするが、それは道路、鉄道、街
が出来上がっているわけであり、消費国家にはほど遠い。一部というか3億人と
も言われている富裕層が日米のライフスタイルを真似ているが、それでも住宅自
動車以上に欲しがるものはまだ登場しない。

●現在の不況に脅威なのは、エネルギー安全保障(原油の高騰やガス不足)によ
る生産不況ではない。電力業界はサービス業種だから、経営破綻しようがないの
であることを忘れている。代替企業によるM&Aの手段があれば、供給が止まる
ことはないからだ。

家も自動車も売れなくなっているのは、消費が別の消費によって押し出されてい
るわけでもない。(かつてエネルギーや社会負担高騰による消費低迷はあった)
消費が減って貯蓄が増えていることもなく、同時に企業の投資も増えていない。
消費+貯蓄=生産+投資だから、消費著生産のバランスは維持されていて、ただ
同時に低迷しているのが不況の原因である。

●なぜ作らないか、どうして買わなくなったのか。新商品が魅力的ではないから
ではなく、消費行動の魅力が足りない、つまりは販売の最前線での「買うのを止
めておこう」という、心理や感情の問題であることに気づかねばならない。

しかし、単なる気分ではない。「女性心理」でもない。社会心理なのだ。

本当に必要なものが売られていないことに原因がある。作られていないし、流通
していない、本当に今の時代に必要なものは何か。製造や販売の戦略に欠けてい
る視点が確かにあるのだ。

●これが社会ニーズという、今必要な商品やサービスの姿なのである。

★珍しくておいしい食品ではなく、健康で長寿につながる安心できる食品。
★かっこよくて高機能の家電製品ではなく、使いやすく便利な生活用具(しかも
23%もいる65歳以上の高齢者にとって)
★一世一代のジャンプで買う住宅ではなく、世代と家族構成に応じた住み替えの
できる住宅やマンション
★何となくお得な保険や銀行ではなく、手持ちの貯金と保険で将来設計を考えて
くれる銀行サービスと保険の持ち方コンサルティング
★高齢者は年々不安の支給年金ではなく、少しでも収入がある職業の斡旋と紹介

少子高齢化、不安定な社会保障、成長や増収が見込めない消費者にとって、お買
い物を再び考えても良いと思えるには、広告や宣伝で5つの★を満たさねばなら
ない。これが経営・運営戦略に織り込まれなければ、復活は絶望だろう。

売れなくなったから、リストラによる人員削減や物流費削減では手遅れなのだ。

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東日本大震災の事件を経験して、私たちは次の世代に何を遺さねばならないでし
ょうか。災害は忘れた頃にやってくる、という現実を受けて、ビジネスマンや事
業の継続を続けるためには、100年以上の企業が数万社もある反面、災害を契
機に事業停止や廃止となる企業がありました。

救急医療や人命救済に物流マンの役割も高く評価された、今回の事件を通して、
物流が持っている強さと意義を整理しました。

いざというときには、自分で守り、遺すための『みんなのBCP』を考え出しま
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