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■■□■■  物┃流┃現┃場・見┃た┃ま┃ま・感┃じ┃た┃ま┃ま┃   □
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□■■    2011/12/25 NO.458              □□■
■■     『ものは言いよう、ロゴスの世界』惑わされた1年  □□■□
■      物流改善ヒントhttp://avance-tokyo.com     □□■□□
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■大災害で失われた多くの魂と被害に遭われたみなさまへお見舞い致します。
そして全力で奮闘している全国の物流マンに深い敬意と感謝を致します。
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●今年の漢字は「絆」でありました。人と人とのつながりが国や社会や家族を越

て、実感された年だと言えるでしょう。けれども、つながること=連帯が正義
をもたらしていないこと
、政治や企業がだらしなくなっていることが悲しい。

特に東日本大震災後の救援活動や自治体の動きは遅く、人知の乱れが被災者の絆
をいっそう強固にしたのは皮肉だった。

●物流業界の見事な結束は救急救命活動に現れ、賞賛される機会が多かったにも
関わらず、業界を挙げてのアピールやこれに乗じた活動の広報が足りずにあるの
も、絆と連帯の乱れが残念だった。

続いた企業不祥事は相撲界の八百長や稽古場傷害事件に始まり、邪な意図がお粗
末であって、恥を知る日本人の文化的プライドを大きく傷つけた。

●振り返れば散々な一年だったが、成熟した日本に安定をもたらすことがこれほ
ど難しいとは思わなかった。景気低迷が20年も続くのに、バランスを欠く経営
が続いてリストラや販売拡大に伴う資金不足が赤字の原因となることがオカシイ。

縮小経営によって、均衡を取ることの難しさも20年の経験が活かされないこと
に残念さが残る。急激な資源高、円高による影響と言うが、本当か。
言葉に踊らされ、意味を取り違え、迷走してきた結果ではないか。改めて言葉の
持つ不思議さを感じる歳末だ。

●物流や経営にとって、言葉=ロゴス に惑わされた例を振り返ってみたい。

★売上:収益や収入の筈であるが、その実態は見かけであり現実ではない。その
ことの証拠に売掛金が入金されなかった事故は山ほどあって、そのために銀行も
企業も、『貸し倒れ引当金』という予備費を確保している。
つまり、売上は仮想であり現実は現金である、ということを明らかにしたのが、
キャッシュフロー経営の勧めであった。しかし、これを実感していたのは少ない

★利益:利益に3種類あり、粗利、営業利益、計上利益の違いは別としても、売
上額から経費を差し引いたものが利益になるが、売上が仮想であり、しかも値下
げ販売による値引き額が経費だから、利益は生まれない。20年昔と今が売上の
違いこそあれ、利益の少なさを比べるとき、営業経費の拡大が致命傷であること
を指摘できなかった点は反省すべきである。売上拡大政策をとること自体がデフ
レの促進になることを知らなかったのではないか。

★コスト:売上と利益が仮想なら、コストもまた仮想なのか。こちらこそは社外
への支払いであり、容赦なく追求される。借入があれば取り立てられるし、平成
の徳政令と言われた返済猶予は来年終了して、銀行の取り立ては始まる。
請求書を無視すれば噂が立ち、評判は売上を落とすことになる。はっきりしてい
るのは、経営はコストだけなのだが、同時に物流コストは単価ではなく総額で見
ることを、こちらも忘れがちであった。単価を交渉しても総額に歯止めを掛けな
いから、物流コストが突出しているのだ。こちらも売上拡大策の影響。

★デフレ:生活用品の低価格と実態給与の低下が長期にわたって続くこと。しか
し、デフレには原因があって日本の場合には「供給過剰」=供給ギャップ5%と
言われていた。ところが大震災による生産抑制、電力不足による供給抑制がちょ
うど5%=25兆円分、といってたのにデフレには歯止めが効かない。
つまり、低価格と低給料は経営意思であったことが分かっている。とはいえ、日
本の場合には経営意思を誰が握っているかが曖昧なので企業マンみんなと言える
※デフレはマインド、感情、心理、自信のなさなのである

★差別化:競争状態にある場合、競合比較を行う。けれども、自社の位置づけや
ランクを知らずに=競争したつもり、では差別化の意味がない。特に自社より上
位の企業と差別化を図るのは誤り。競争とは自社より下位を叩くことであって、
上にいる企業と競争することは自滅行為。大手との価格競争で差別化を図る、と
いうのは全く自殺なので間違えないように。

★予算:予定試算であって実績ではない。なのに行政は予算を消化するという事
に必死となって、年度途中の変化に対応できていない。同様に企業内部でも予算
が無いために突発的な事件への対応が遅れる。復興予算がない、というのもヘン
に納得しがちだが、壊れた駅や橋のために貯蓄を取り崩すのが最優先。
我が国には100兆円を超える対外資産=貯金、外貨、外国債券があるので、こ
れを取り崩せば、貯金が新しい駅、橋=資産に変わる。貯金も資産も同じである
ことを解説するのが複式簿記なのだが、国には単式簿記=入出金管理しかできな
いので間違える。

★合理化、効率化:比較した上での改良を指しているはずだが、単なる値下げや
予算縮小、要員削減までも幅広く誤解している。物流現場での誤用が目立ち、コ
スト削減が企業利益の増加につながらない実態が不思議だ。そして、来期も同様
に繰り返している事が果て無き疲労を生んでいる。

●囚われる事の不思議、滑稽、怒り、失望、絶望。そして願望と意欲がこれから
の社会を変えてゆく。カワイイが売れる条件で、納得が幸福の条件だから、これ
からの時代と来年は、人間革命、感性革命の流れが大きくなるだろう。

1年間のご愛読、ありがとうございました。お静かに新年をお迎え下さい。

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