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■■□■■  物┃流┃現┃場・見┃た┃ま┃ま・感┃じ┃た┃ま┃ま┃  □
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□■■    2012/4/15 NO.469             □□■
■■     『反対・賛成、原発の行方』その2 人災の証拠   □□■□
■      物流改善ヒントhttp://avance-tokyo.com    □□■□□
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■昨年大災害で失われた多くの魂と被害に遭われたみなさまへお見舞い致します。
そして今も全力で奮闘している全国の物流マンに深い敬意と感謝を致します。
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原発事故の調査委員会は警察、検察に優先して当事者の事情聴取を行っています
事故か犯罪か、賠償か補償かは、はっきりしていません。東電は補償金の精算を
始めていますが、補償とは合法行為の結果の被害救済であり、賠償は犯罪や違法
行為による<請求に基づく>損害補償です。事故は避けられない天災だったの?
このように聞かれて、原発再開をどう判断しますか
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●福島原発事故調査委員会の正式な報告書が完成していません。現在のところは
メディアによるTWIITERや専門家のブログ、テレビ出演の記述や論文によってし
か事実経過が判明していません。

早々と大前研一氏とプロジェクトチームがまとめた報告書があります

チームH2Oプロジェクト中間報告 2011/10/28 
「福島第一原子力発電所事故から何を学ぶか」 が、細野原発担当に提出されて
いますが、事実経過や証拠記録の豊富さでは秀逸です。デジカメやホワイトボー
ドの記録、当事者のインタビューなどを元に原因追及を行っています。

http://pr.bbt757.com/pdf/interimrepo_111028.pdf

結論は、原発の設計指針に 設計指針27.電源喪失に対する設計上の考慮

長期間にわたる全交流動力電源喪失は、送電線の復旧又は非常用交流電源設備
の修復が期待できるので考慮する必要はない。
非常用交流電源設備の信頼度が、系統構成又は運用(常に稼働状態にしておく
ことなど)により、十分高い場合においては、設計上全交流動力電源喪失を想定
しなくてもよい。

電源喪失は前提になかったから、・・・とまとめています。
これでは全国の原発の再開は不可能です。設計原則が間違っていたからと主張し
ます。

●もう一つの検証例では、日経BP社「FUKUSHIMAレポート」があります。
こちらも時系列で事故対策室の記録と東電発表データを克明に記録しています。

事故は、海水注入の意思決定が遅れた為に制御不能となり暴走、爆発を招いた。
と管理者責任、経営判断、廃炉を前提とした「海水注入」にとまどう原因が。

原子炉1〜3号機の時系列記録を見る限り、全電源喪失による情報収集が不明で
あっても、自然還流型の冷却装置が稼働しており、早期に水源確保や海水注入を
行えば、暴走・爆発は阻止できたはずと主張しています。

記録を見る限り、情報収集に手間取り、かつ意思決定の遅れが数時間も生じて、
冷却水の完全蒸発が起きてしまってからの海水注入となっています。

●いざというときに、廃炉を前提とした海水注入によって冷却を続けることは、
担当の技術者でなくても承知の事実であり、菅総理が海水注入を迫ったとか、誰
かが拒否したとかも問題ではなさそうです。

安全性が失われた瞬間に、どんな損害でも覚悟の上で海水注入を行えれば、制御
は可能だった、とfukushimaレポートでは検証しています。思えばテレビに映る風
景が事態を徐々に悪化していった記憶があります。時間差が爆発を防げたかどう
かの再検証は必要でしょうが、「なぜ廃炉を決定できなかったか」という点には、

経営者か、国家か、総理大臣か、担当の専門家か、原子力安全委員会、保安院の
どこかに意思決定の遅れという管理責任が大いにありそうです。

●冷却は早期に始まっていれば水素爆発は防げたし、燃料のメルトダウンも当然
に防止できたはずです。メーターが読めない、情報が分からない、けれども原子
炉を放置すれば、毎時間25tの冷却水が蒸発する事態であることは明らかでし
たから、電源喪失によるポンプ不能が直接の原因でないことは明らかになりまし
た。

それぞれの原子炉には、最終最後の安全装置として自然循環型冷却装置があり、
循環水は8時間は稼働するようになっていた設備があります。これが破損したか
どうかは、現場でしか不明ですが、インタビュー作業者はバルブを閉めたり、空
けたりしていて、冷却努力を続けていた証拠が残っています。

●早期の海水注入という廃炉決定をできなかった、理由には根深いモノがありま
す。原子力発電は電気事業者のモノか、それとも国家を掛けた事業なのか、最高
責任者は社長か、保安院、原子力安全委員長、総理大臣、・・国策決定者は誰か

事故の直接原因が装置にないことは明らかで、暴走を止めるための廃炉決定が遅
れたとなれば、事故は人災と言えます。管理者が誰であれ、善意の管理責任を問
われるし、事故は損害賠償の対象となって最終的には国家賠償となるはずです。

●原発は事故があったから、安全か、危険か。という選択ではありません。事故
は常に起きるし、「想定を越えた事故」などはどこにでもありますから、再発防
止対策が取れなければ危険だし、原因が立証できれば安全策を揃えることはでき
るはずです。

原子炉の設計基準が足りないなら追加すればよい、人災なら予防と権限を追加し
てダブルチェックとすれば良い。この際、原子炉暴走を防ぐなら、どのような高
額な資産であろうとも、国家人命にとっての廃炉決定ができるようにすればよい

原発の運転再開はこのようにして、安全か危険かではなく、再発防止が可能です

●原発を止めたままではコストや電力不足で不都合だ、というのは短絡的な判断
になります。この事故で明らかになったのは、原子力発電事業はそれほどコスト
が安くなく、安全でもなく、けれども設置自治体には重要な産業であり、多くの
雇用と税収をもたらして、地域振興になっているという事実です。

日本が戦後まもなく占領軍GHQとの交渉によって、エネルギーの危機を構想し
ての電力独占化政策から始まり、昭和30年には「原子力の平和利用研究」を
始めました。中曽根康弘が2億円の研究予算を獲得して、昭和32年には日本原
子力発電が開発を始め、45年に日立に第1号機を据えているのです。

東京湾に原子力発電所が作れない理由は、危険だからです。そして燃料の処理に
正解がないからです。もんじゅの失敗によって、青森六ヶ所村の再処理工場の完
成ができない事実を見るに付け、人類にはまだ原子力の技術を手に入れられない
現実があります。

停止している53基の原発には使用済み燃料がうずたかく積まれています。冷却
を必要として、こちらも電力を使ってポンプを回し続けなければなりません。
発電できなくても電力が必要なのが、原発であり、逆に揚水発電所は原発が停止
すれば、用無しの存在になっているのです。

●石炭、石油、LNG、シュールガスの発電所は足りていません。燃料高にも苦
しみますが、当面の原発再開を許しても、全面稼働という道は閉ざされたと言え
るでしょう。

安全に管理する技術と使用済み燃料の処置について答えがない以上、我が国で原
発を進める理由がありません。アジア各国でも求められている原発も、その裏側
にはウランとプルトニウムという核兵器の原料が欲しいという核軍備への道があ
るから、プラント輸出も止めるべきでしょう。

★使用済み核燃料や低レベル放射能汚染資材機材の処置は、極めて重要な保管技
術と輸送手段を必要としています。本質的に原発は物流による問題解決を必要と
されているものなのです。

原発の是非は設置自治体や行政問題ではなく、国民投票による意思決定が必要な
ほど、日本にとって深刻な問題であり、次世代の最悪の遺産となるものなのです

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