━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■□■■  物┃流┃現┃場・見┃た┃ま┃ま・感┃じ┃た┃ま┃ま┃  □
■□■■   ━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛ □□
□■■    2012/5/5 NO.471              □□■
■■     『節電、省エネ、復興』経験のない時代に      □□■□
■      物流改善ヒントhttp://avance-tokyo.com    □□■□□
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■昨年大災害で失われた多くの魂と被害に遭われたみなさまへお見舞い致します。
そして今も全力で奮闘している全国の物流マンに深い敬意と感謝を致します。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
昨年の大型連休は、自粛ムードで街に人は居なかった。夜も静まりかえり、銀座
にタクシーが大行列という風景すらなかった。1年は振り返るのに長く、忘れが
たい事件も薄れてゆく。何かを成すには短く、何もしなければあっという間に過
ぎてゆく。にぎやかさが戻った連休で、何かが決着つくと思ったが、消費税も小
沢問題もTPPも原発も節目にはならなかった。こんな1年は珍しい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●子どもの日に日本の原発がすべて停止した。それでも停電にならないのは発電
稼働率と消費電力のバランスが維持できているから。石油やLNG発電の比率が
目一杯になっているから、燃料値上げ騒動も始まっている。今年の夏はどうする
かが、職場や工場での話題になっている。

消費電力が1/10のLED照明や起動消費3割カットのインバーターモーター
は日本の省エネ技術として登場した。家電製品では新商品は従来より省エネをう
たってきた。

社会主義体制の計画経済下では、エネルギーも政策バランスに組み込まれて、電
力不足は商店の品不足と同様に生活の話題にも挙がらない。今の日本は電力不足
なのか、節電奨励なのか。

●経済学でなくても供給不足は価格上昇を招く。不足なら値上げで対処すれば一
時は凌げるし、夏のハイピークだけが問題ならデイタイムの料金を上げれば自然
に消費ピークはスライドする。問題は不足ではなくピークカットだというのが、
最初の視点。次に原発コストと火力コストの比較になるはずだが、基準値が定ま
っていない。

本来エネルギー問題は、生産側の問題として発電手段やその熱転換効率が技術開
発の目的となり、消費側では消費効率が課題となってきた。日本は世界に冠たる
成果を上げてきており、特にエンジンでは世界一燃料効率の高い自動車エンジン
を開発し、モーターや照明でも先端を行く。これらの技術を汎用化するまでエネ
ルギー問題は生まれない筈だった。

●石炭、原油、LNG、シュールガス、発電手段は増えて、生産効率も高まって
きている。火力発電ではボイラー効率が65%まで上がり、更に廃熱を利用した
温水供給や廃熱冷房技術までも実現化している。

原子力発電はエネルギー自給問題の解決手段として、そして隠れた真の目的であ
る核燃料の濃縮、再利用、プルトニウム生産という兵器サイクルに組み込まれた
先進国の特権とも言えるものだ。だから日本では戦後まもなく、原子力の平和利
用という名目で占領下にあった時から開発予算を手に入れていた。

●もし、石炭と石油とLNGの供給が止まれば自給不能のエネルギーが日本の命
取りとなり、再び敗戦国となるシナリオが最も脅威だった。これが現在のエネル
ギー問題の本質なのである。我が国は憲法によって、他国に戦争悪意がないこと
を前提とした国家運営を目指していても、やはり最悪の事態を覚悟していたので
ある。

★★憲法前文★★

日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く
自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安
全と生存を保持しようと決意した。

※他国の悪意でホルムズ海峡が封鎖され、日本への原油遮断が図られることは想
定していない。想定外の危機に備えて90日備蓄が成されているだけである。
更に最悪の対策を考慮するなら、石油断絶よりも国防力強化が先である。

●食料自給問題と同様に、エネルギー自給化は願望であっても不可能な政策にな
っているのは明らかで、民主党政権化での原発依存率40%ですら自給化とはほ
ど遠い。それなのに、原発をエネルギー問題に上げるのは誤りなのだ。

自給化問題とコスト議論は次元が異なり、米を生産しない農家に補助を与え、外
国産の輸入米に制限を掛けていることと同じだ。

原発をエネルギー政策で語るのもコストで語るのも誤りであることを再認識しな
ければいけないと言えるだろう。

●インフラ喪失20兆、民間設備投資の喪失20兆であわせてGNPの10%以
上が失われ、これから復興のために必要とされている。下期は景気が回復するか
も知れない、という目論見はこのことを指している。

問題は購買力、投資力、必要財源、公共投資のやり繰りだ。民間企業や個人の住
宅を含めた公共自治体への助成金がどうしても必要になる。住宅ローンの2重化
は避けなければならないし、企業の設備投資に金融機関の有利融資が欠かせない。

インフラ復興には都市開発や一次産業復興のための、基本財源がない、と話題に
上がっている。我が国には増税の余地はすでにない。20年続いたデフレによっ
てGNPは500兆を下回り、個人消費も伸び悩んでいる。義捐や支援のための
一時金を消費から上乗せすることはできても、その分だけ個人消費が少なくなる
ことは確実だ。

狙われているのが個人資産1400兆円であり、預金や貯金、保険や積立、タン
ス預金まで含めた個人のふところから取り立てようとしている。民主党の事業仕
分けは大した成果は挙げられなかったが、財政のムダ、組織のムダ、制度の誤り
が数多く指摘されてきて、その実、具体的な政策や施策が打たれないで放置され
たままになっている。

●日本の財源は残されたところ、金融業界にしかもはやない。証券市場や外国為
替取引、金地金取引というところに莫大な取引が行われている。こちらは、生産
や消費、心理や感情というものとは無関係に、経済活動を続けている。

証券市場では毎日1兆円の株式が売買され、業績低下の東京電力すら莫大な取引
が続く。株式は景気の先行指標であるが、証券市場で利益を生むには景気ではな
く、技術と度胸というギャンブルと類似したものがある。値上がって儲け、値下
がって儲けることが可能だからだ。

同様に外国為替市場では、ドルやユーロが日本円と活発に取引されている。毎日
30兆円の売買が、こちらも儲けるために行われている。あまりに多額、膨大な
金額になるので集計作業がきちんと行うこともできない。世界の市場はつながっ
ており、締め日がないからである。年間8000兆円のギャンブルが、この時期
の東京でうごめいているのである。

●財源はここにある。わずか、0.01%の取引税を導入してはどうか。もうけ
が確率的に0.01下がるかも知れないが、復興である、事態である。
毎年8兆円の税収がある、5年で40兆円。無事にインフラ復興が可能なのだ。

生産消費が金融へシフトするなら、さらに財源がふくらむ。
東証は超高速取引実現のために、情報システムを全面交換してこの度の東電暴落
を凌いだ。みずほ銀行は停止したが、外国為替や証券取引はノンストップで世界
と対峙している。

不安がることはない、恐れ臆病になることもない。エネルギーも財源も探せばあ
る。融通することもできる、生み出すことができるのだ。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★★★★★ WEB書店で好評・増刷! 物流問題解決の糸口を斬る ★★★★★
★日刊工業新聞 『物流リスクマネジメント』¥2100
http://pub.nikkan.co.jp/books/detail/00002297
★日刊工業新聞 『物流改善Q&A100』 ¥2310
http://pub.nikkan.co.jp/books/detail/00002220
★日刊工業新聞 『見える化で進める物流改善』¥2310
http://pub.nikkan.co.jp/books/detail/00002079
★秀和システム 『戦略物流の基本とカラクリがよ?くわかる本』¥1470
http://www.shuwasystem.co.jp/products/7980html/1829.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
電子メールマガジン【物流現場 見たまま 感じたまま】
■発行者 株式会社アバンセ 花房陵   http://www.avance-tokyo.com
■ご感想、ご意見、ご質問は返信   mailto:hanabusa@avance-tokyo.com
■FACEBOOK:Ryo Hanabusa
★★★このメルマガをあなたが気に掛けてくれて、誰かに伝える。そして読んで
くれて、また気に掛けてくれて、誰かに伝える。そんなことを繰り返すと100
の4乗は1億人だから国民が読むことに。やっぱり世界は狭く、友達の輪は広い
【物流現場 見たまま 感じたまま】創刊は 1998/8/20 発行14年目★★★
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━