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■■□■■ 物┃流┃現┃場・見┃た┃ま┃ま・感┃じ┃た┃ま┃ま┃ □
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□■■ 2012/7/5 NO.477 □□■
■■ 『期待の通販物流』不安は無いか、成長するか? □□■□
■ 物流改善ヒントhttp://avance-tokyo.com □□■□□
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7/21(土曜)14:00~東京海洋大学
「通販物流の現状と課題〜与信管理及びリスク分析の方法等」で物流学会の関
東部会研究会が開かれます。http://www.logistics-society.jp/JLS-kanto.html
通販物流のちょっとした歴史の振り返り、現在の問題点、これからの期待につい
て、私の経験と調べた事を発表します。「学会」ですから大学の先生や大学院生
他、一般の物流事業者さんも参加するそうです。学校の教室での発表、授業形式
ですから、かなり緊張。
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●物流事業の範囲は、調達〜生産〜販売〜回収および還流〜全体を通したマネジ
メントおよびそのためのツール。というように広範囲にわたります。特に調達物
流や販売物流には「貿易」が含まれるので、内貨・外貨の区別によって事業者も
多岐にわたります。当然、歴史や価値観も多いに異なります。
●最後に登場した物流として、エコに関連する廃棄物や回収製品の還流物流と小
売業にとっての画期的手段としての通販物流があります。特に、宅配便の進化と
技術進歩によって、物流と販売活動や代金精算まで一貫したサービスを提供でき
るようになりました。進化は喜ばしいけれど、物流の進化によって不適格事業者
まで、小売り流通ビジネスへの進出が可能になった点が心配です。
●ボクの体験談からですけどね、少年ジャンプ・キング・マガジンという小学生
のバイブル最終ページにはいつも、ハラハラするような商品がいっぱい載ってま
した。ハガキの書き方や切手の貼り方まで親切丁寧に解説してあるのです。
それは、背が伸びる、筋肉が短時間で付く、ステンレスの鉢巻きが抜群の記憶力
を生む、ずっしりと手に感じる鋼鉄製コルト45・実弾付き、恋人ができるペン
ダント、知らずに小遣いが増えるカエルの石、幸運の財布、・・・・・・お年玉
を貯金箱から抜いて、郵便局で数千円の切手を買って、ガイド通りの封筒を書い
て、赤いポストに投函した時の高揚感、ワクワク感は今でも鮮明に。
小包が届き、開封してがっかりした時、「ボクが悪かった」と数日悩んだ思い出
は、その後教室で類似体験の仲間がいたことによって救われたものです。
●勇気ある友は当時新大久保駅前にあるショールームという、アパートの一室ま
で尋ねてゆき、親切な女性に「お小遣いがもったいないから止めなさい」と諭
された経験談を、もうちょっと大きくなってから聞いたものです。
通販の怖さ、ずるさ、間違えの元と原因が、対面販売ではないところにいつも
付いて回ります。逆手に取る商法とそれを問題・課題・解決策として挑戦する商
法のそれぞれが混在した時代でした。
●今や小売業は老舗や駅前から徐々に財布に近づいています。郊外店から徒歩5
分、そして玄関先まで入り込んできたのは、物流の進化が後押しをしています。
世の中に必要で大切な商品を、確実にすばやくお届けするという使命に燃えてる
物流にとって、今の通販業界は境界線がグレーになってる、どうやってお付き合
いすべき期待の荷主様なのか、悩んでいることも事実です。
●儒教の教えが息づく日本では、士農工商という職業ランキングがありました。
ボクの親父も就職のときに、これを説教したものです。士=役人、農=農業、工
=製造業、商=流通業って格差があるから、将来性もこれになってる。仕事を選
ぶなら、格差を覚悟しておけよだって。
悔しい思いを続けてきたダイエー中内さんは、商業の地位向上を資産の拡大で目
指しました。土地建物という不動産を増やすことに専念して、製造業と流通業の
資本の逆転(小売がメーカーより大資本になること)に成功したものです。
この意欲と日々の覚悟、雨でも嵐でも店を開け、お客を待つという途方もない苦
労を糧として、小売業は日本の最大の産業になりました。
●そんな中での無店舗販売、カタログ販売はリスクや苦労を負わない商売として
誰でも簡単に始められ、いつでもやめられる気ままなビジネスとして今でも新規
参入がとまりません。昔ははがきと小包、今はネットと宅配便の違いはあるけれ
ど、リスクと覚悟を持たない小売業としては、「脱サララーメン屋」以上にお手
軽なビジネスなのです。何より店舗が要らない、設備資金がない、レターセット
とデザイン名刺があれば、老舗小売業とそん色ない見た目のカイシャになるから
です。
●家庭の主婦や素人さんが自宅で始めるのはよい事です。そして、一日に50回
も注文が入るようになると、ダンボール作りや宅配便の500円が惜しくなって
きて、物流業者に頼もうかと考え始めるのは年商2000万くらい。ダンボール
で毎月100個は部屋があふれる。事務所が狭い、在庫を置けない物理的な敷居
になっています。けれども、簡単にはじめたリスクや覚悟の少ない商売ですから
止めるのも早い。倉庫に預けた在庫をそのままにして、事業の廃止をするなんて
いうのも気軽なものです。
いまどきカイシャは1円資本でも作れますし、登記のための10万円も店舗を構
えることや設備の事を考えれば、消耗品扱いの金額なのです。
物流を受託する場合には、カイシャの名刺だけでなく、役員名簿や謄本、事業の
歴史までさかのぼって、リスクと覚悟の実態を調べなくてはなりません。
●逆もまたあります。通販ビジネスを流行だからといって、生産物流や倉庫業種
の事業として取り組むと、あまりの細かさに現場は大混乱します。商品数よりチ
ラシや説明書、お手紙や広告の紙が多く、どれも識別のための商品コードがない
から、システムで在庫管理ができない。それなのに、流通加工だけは山ほど複雑
な手順と思い入れがあって、やたらと丁寧さや心づくしを重視します。無差別、
大量、迅速とは打って変わり、個別、多頻度、複雑な梱包という作業が現場にた
め息が生まれます。
ミスは誤っても済まずに、再発送、交換、詫び状、訪問、値引き、誓約書までの
一連が当然とされて、だからB2BとB2Cの難しさがあるのだ、と解説されても手
遅れなのです。
●通販物流は頼む側、受ける側の双方に思い込みのずれとリスク、トラブルがつ
き物です。それを十分の覚悟してから始めることが大事なのですが、お手軽さが
最初に浮かぶと大変ですね。
けれど、美しい日本語で解説している韓国や外国のWEBページや残り3着なんて
在庫情報が出ているモデルさんの写真に気を取られると、小売業も新しい手法を
手に入れることができたと喜びます。デパートもスーパーも、コンビニやファミ
レスまで通販盛りの現在です。
●普段はダンボールでの入荷や出荷作業だったものが、ある日突然コンテナがど
〜んと届いて、品出し作業も追いつかずに倉庫があふれてしまうことも見てきま
した。契約書に書いてないよね、ってつぶやいても手遅れなのです。
共同物流を前提にした物流事業者にとって、物量の急拡大は混乱と能力を超えて
しまいます。「だって専門業者でしょ、ちゃんと受け取ってもらわないと」から
始まったトラブルは訴訟になることも頻繁です。商品コードがバラバラで間違っ
ているのは、海外生産では当たり前。個人商社なら自分で苦労しますが、それを
料金に換算したらとても払えない!って泣き言もしょっちゅうです。
●低い参入障壁と手軽に開いた倉庫で始められる通販物流、今日もあちこちで悲
鳴とため息が聞こえてきます。
作業も大変だけど、配送や運輸業者さんも同じようにお手軽に引き受けてしまう
ものだから、こっちも同じようにトラブル続きです。30MMPっていう配送精
度なら自慢できますが、10万個に3個の行方不明貨物はなぜか同じ荷主さんに
集中するマーフィー症状。そしたら大事件です、せっかく配伝システムを無料で
入れたのに業者交代が日常茶飯事。やっっぱりヤマト、という声があちこちで聞
こえてきたりして、そうかもねぇ、でもねぇ。
●全国のシャッター商店街が貸し店舗、売り店舗の張り紙をつけていながら、そ
の裏にはきちんとした地元の名士が生活しています。駅がなくなり、商圏が狭く
なり、住民が減ったから小売業は無理だ。ではなく、通販の仕組みと物流を上手
にこなせば、再びシャッターは上がらなくても通販モールがそこここに生まれる
のはまもなくです。物流営業マンがこまめに店主を口説いてゆけば、地域の名産
品や地元の小売は復活できると思うのです。なにより、お手軽にはじめる人たち
ではなく、リスクと覚悟をきちんと持っていた立派な商人ですから、都会の通販
業者さんとは毛色が違う事業者になるでしょう。
●日本はGNPの7割を流通で稼ぎ出す世界に名だたる産業国家です。小売業が
苦戦しているのは、時代にあった商法を見つけられないからです。いつまでも品
そろえと立地に頼る、いわば不労所得みたいに小売業を考えていたことを反省す
れば、日本国民のお財布は世界中でもっとも豊富だし、買い物を我慢している訳
ではないのです。おんな子供だなんて言いませんが、衝動買いだけで店を維持す
ることではなく、定期的に確実にお買い物の習慣をしっかり囲い込んでゆく商法
が通販には残されていると思うのです。
がんばれ通販、気をつけて通販物流。
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