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■■□■■  物┃流┃現┃場・見┃た┃ま┃ま・感┃じ┃た┃ま┃ま┃   □
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□■■    2012/8/15   NO.481                       □□■
■■     『テーブルの反対側から見て』 ビジネスとシステム □□■□
■      物流改善ヒントhttp://avance-tokyo.com       □□■□□
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★★8/28(火曜)終日講習 日本IE協会『現場でできる物流改善』★★

    〜〜物流現場にはびこる問題点を見つけ、速効解決する〜〜

物流活動ではいっそうのコストダウン、スピードアップ、品質サービスや高度情
報化、グローバル化に際しての新しい機能実現を期待されています。
これらの難題解決策を「現場レベルのテーマ」「投資を伴わず」「最少最短工数」
で解決する具体的ノウハウを紹介します。
多種多様な商材の物流現場で問題解決実績をもとに事例紹介や簡単な演習により、
即座に応用できるよう実践的に物流改善を進めます。
製造流通業の物流部門、物流事業者の実践的セミナーです。
http://www.j-ie.com/activity/ie-seminar/site-innovation/post-8062/
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●閉塞感からの脱出

物流活動が生産や販売の後方支援として位置づけられるから、生産と販売に勢い
がなくなると、物流も元気がなくなります。でも、部隊としての最小設備や最小
規模の体制は維持しなくてはならず、そのために自営物流からアウトソーシング
が採用されることもあります。

物流子会社もそのような背景を受けていました。物流部門は運営コストの低減を
もって生産と販売の収益改善に寄与したいと心では思っています。経営陣も、何
より目立った現金支出の物流費を何とかして抑制コントロールしようと、IT導
入や最新の経営手法を取り入れるように腐心しています。

生産と販売が、販売価格×販売回数 に単純化されて考えられると、物流コスト
も本当は 活動単価×活動回数 なのに、単価ばかりに目がいきます。

運賃や作業単価の値下げ交渉がいつまでも繰り返されるのは、この単純化視点に
よるものだと思えます。本当は、販売価格や活動回数に改革を施さねばなりませ
ん。このことは単純化の間違えではなく、短絡化思考の回路ミスと言えます。

図で考えると云々 という、シンプル・ザ・ベストでも、単純化=短絡やステレ
オタイプ(形式思考)とは教えていませんが、行動はそうなっていない。せめて
3段論法や正反合の構造思考が欲しいところです。

物流コストというテーブルの片方には、それを生み出している物流部門、反対側
には費用を負担する経営側。同じテーブルを見ていても、その模様や状態は違って
いるのでしょう。話のわからん相手にどんな説得技法があるのか悩むには、同じと
考えていたテーブルが相手にはどのように写っているかを知らねばなりません。

「相手の立場に立って、本質を見る」ことが長く、どこでも言われています。

提案営業、製品開発、契約交渉術、・・・。物流コストで収支を改善しようとする
なら、物流活動も同じように視点を変えなければなりません。エクソダスとは、脱
離といって交渉を超えることに活路を求めることです。

●自営物流が20兆円、営業物流が30兆円

GDPが500兆を下回っていますが、およそ財・サービスに関わる物流活動コス
トは10%内外ですから、50兆円の活動が繰り返されています。自家物流と営業
物流の比率は正しくなくとも、営業物流へのシフトが進んでいます。

一般管理費としての自家物流に関わる物流コストと、業務委託費用や外注費として
支払いが明らかな物流コストは、テーブルの片方では事業の売上になっています。

物流企業の喉から手が出るほど羨ましい売上です。ビジネスが付加価値つまりは金
作りであるなら、システムは効率追求の非付加価値活動とも言えるでしょう。

同じ活動でも、テーブルを境にして「ビジネス」と見るか「システム」と見なすか
という正と反があるのです。ではそこに融合できる余地があるのでしょうか。
物流コスト=事業売上 という、対立要素でしかないのでしょうか。

●ビジネスの目指すもの、システムの目指すもの

物流事業者にとってみれば、荷主の自家物流と同じ機能や性能を劇的なローコスト
オペレーションを見せることで、自営転換が起きます。平均年齢が低いということ
で人件費比率と生産性が全く変わります。自家倉庫より営業倉庫の方が効率化運営
が常習しているので、保管費効率が良くなります。配送も同様で、運行実車率が比
べものになりません。

物流ビジネスでは、同じように見える活動でも自家運営と営業運営では付加価値を
生み出す要素は山ほどある。だから、「荷主のコストダウンは自社の売上が下がる
から、ほんとはやりたくない」などという、物流経営者の発言は唾棄されるもので
す。

受託した物流事業のコストを下げるのは、経験の習熟と成長・進歩の証であって、
同じサービスを続けるなら毎年生産性が上がらなければおかしい。運営コストが下
がらないのは、現場に進化が止まっている証拠です。システム化思考と施策の連続
によって、ビジネスはビジネスとしての成長がある。

委託する側は自家物流の経験値を忘れずに、委託の成果を分かち合う共生の思想が
なければおかしい。数年ごとに物流業者に当て馬を付けて、委託単価の値下げを強
いるなら、さもしさと足下をすくわれる危険を覚悟しなくてはならない。
確かに委託は、物流をシステムと見るのだから徹底的なコストダウンを目指すのは
正しく、それは単価×回数で見ることと同じで、総労働時間、総輸送回数、総販売
金額を見ることで、物流問題は生産と販売に原因があることに気が付くものです。

生産単位、販売単位を操作することができなければ、物流コストの削減は壁に当た
り、業者を変えても、新しい情報システムツールを導入しても限界になる。
だから、物流ABCという手法が脚光を浴びて、商材別、得意先別の物流コスト分
析が必要になっているのだと思います。

●物流は影

ビジネスと見てもシステムと見ても、自立的に自発的に活動が引き起こるわけでは
なく、生産と販売の計画に従って連鎖しているに過ぎません。ただ、活動が始まれ
ば直ちに「市場情報」と「顧客満足」の接点になるわけですから、物流からのフィ
ードバックは繰り返されることにより、生産と販売だったのか物流だったのかとい
うニワトリと卵のパラドックスが始まります。

物流コストというテーブルでは、片やより安いコストを目指すシステム思考といっ
そうの合理化により余剰コストを生み出せるビジネス思考が共生していることにな
ります。

コストダウンに手詰まりがあるなら、それは影の性ではなく主体に真の原因を求め
ることが、正→反→合 の行き着くところでしょう。

作り方、売り方を市場、顧客、経営の視点で見直すことを提言できるのが、物流部
門だということを改めて意識して欲しい。
物流部門はコストではなく、独自の業績で評価される時代になっているはずです。


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