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■■□■■  物┃流┃現┃場・見┃た┃ま┃ま・感┃じ┃た┃ま┃ま┃   □

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□■■    2012/9/15   NO.484                       □□■

■■     『人のソリューション』物流展示会になかったもの  □□■□

■      物流改善ヒントhttp://avance-tokyo.com       □□■□□

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物流展行きましたか?業界がアピールしようとしているテーマはなんだったんで

しょうね。日通の見開き2ページの全面広告を見ましたか。これからの物流はグロ

ーバル総合力が勝負だから、日通の底力をアピールしたかったんでしょうが、問い

合わせ部門が航空部門、海運部門と併記してあったのには腰を抜かしました。

ユニクロモデルを目指している企業の物流担当者は、最初にドッチに電話しようと

思ったのかしら。きっとたらいまわしされたんでしょうね。物流のワンストップ窓

口はまだどこにもないと言うことなのでしょう。

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物流の効率化って何だろう
秋風が吹きぬけるようになりました。雲の景色が変わる頃からしのぎ易い、季節波
動の端境期になっています。9月決算の企業では業績確定に必死で、売上の追い込
みと生産の調整に計画マンは残業を余儀なくされています。
 
物流現場では冬と夏の閑散期を過ぎると、曜日と日付に関心が移ります。
月曜日や五十日、二十日過ぎの新手の注文にひやひやします。秋の商戦は年度の変
わり目にも匹敵するように、入出荷がピーク期の入り口になっているからです。
朝礼ではいつものように、場内の整理整頓と業務の効率化を意識付けるために、唱
和やスローガンが口ずさまれるようになっています。
 
●ムダを無くそう、時間を気にしながら早め早めの仕事を心がけよう、何より物流
は時間との戦いだから。効率化とはミヒャエル・エンデ『モモ』のように、時間泥
棒との戦いなのです。一日10時間勤務の中で、本当に目まぐるしいほどの忙しさ
があるのは2割の2時間ほどです。あとは何となく指示書の出力を待っていたり、
マイペースでの仕事で済んでしまいます。誰かの応援に出かけたり、応援者に自分
の仕事を説明したり、本当にべったり忙しい時期にはまだなっていないようです。
不思議なことにこの2時間の集中が、仕事全体の80%を占めているから充実感が
あるし、結果的にほとんどの仕事が終わっていることになる。20:80は原理で
10:50というのが、実感値。半分はすぐに終わっている計算です。
 
●効率化って本当は何だろうと考えてしまいます。時間当たりの作業生産性が答え
なのでしょうが、ガーっと仕事に追われるのは一日の中でも多くても半分ぐらい、
そこでどんなに出来高を稼いでいても、結局一日10時間での出来高は均されてし
まって、昨日とはあんまり変わらないって事がずいぶん続いています。
 
物流の標語にムリムラムダ というのがありますが、仕事量の曜日や日付によるム
ラがあるから、要員のムダがあったり、1日の始末にムリがたたるのです。そうい
うときに限ってミスや事故がおきるから、やり直しの手戻りムダが重なります。
 
物流は自律的というか、自分からは仕事の開始を決められないので待ちの職場とも
言えるでしょう。入荷待ち、出荷指示待ち、機械待ち、人待ち、回答返事待ち、待
つことの多さにあきれるほどです。
こういうときに、リフレッシュしたり、緊張を維持したり、次を考える余裕があれ
ば良いのですが、人の心理はだら〜っとしてしまう。
使える時間を制限されても、指示や商品が遅れることの方が大きな原因になってい
ます。同期化というキーワードがありますが、計画が計画通りに行われていれば、
待ちの時間はずいぶんと少なくなり、結果的に一日の出来高時間は良くなるのに。
 
TOCの理論でも同期化がテーマだった
 
ビジネスの目的をお金を生み出すことで、製造工場の中での効率化は販売のスピー
ドに生産を同期化させることとゴールドラット博士は書いています。1時間に10
台の機械が売れるなら、生産も10台にすべし、仕掛かり在庫は作ってはいけない、
というのが制約条件の理論で流行というかトヨタ方式とよく似た正論になりました。
 
工場内の効率化は、最終出荷速度に同期化することで、販売との需給バランスが最
高度に取れます。もし、既存製品の売上の速度が落ちてゆくなら生産品目を変えて
でも販売速度を上げようというのが、ビジネス目的がキャッシュであることの理由
でした。
 
●営業力でなく市場の要請パフォーマンスに生産活動も同期化するのが最高だとま
とめています。物流の活動も同じように考えるなら、効率化の着目する視点がずい
ぶんと変わってきます。
どれだけ短時間に作業が行われて、コスト効率が上がったとしても、販売価格が下
がり、営業経費が増えてくれば、物流現場でのコストダウンは追いつくはずもあり
ません。
 
失われた20年という販売苦戦の時代では、売るための値下げ、売上を作るための
赤字受注が日常茶飯事でした。そのために、ますます物流部門にはコストダウンの
要求ドライブが掛かり、現場での効率化はすなわち時間短縮に向かっていました。
 
ところが実態としての時間短縮は、待ち時間の原因対策が取れないまま進みました
ので、時間コストよりも運送費や保管費という分かりやすいコストに関心が移って
いったのでした。
 
販売の速度には同期したけれども、販売の効率(利益貢献)には連動できずに苦戦
したのが最近までの現状です。
 
効率化とは資源との対比
 
1時間いくらのコストの人がどれだけの仕事をできるか、という効率化と、仕事1
単位あたりの収益との比較を見なければ、どんなに頑張っても結果としての決算で
は評価すらできない状況に追い込まれます。コストダウンしても売り上げ増や貢献
利益には追いつかないという非同期化のジレンマがあるのです。
 
企業の最終損益である経常利益率が5%だとすると、売上高物流コストの標準値で
ある5%はとんでもない金額だということになります。だから、物流の効率化とは
コストダウンであるといわれ続けてきましたが、視点を変えれば経常利益率が低す
ぎるのではという疑問もわいてきます。
 
●グリーやDeNAが上場初値をつけましたが、これらの利益率は60%といいます。
ネット企業だから物流活動は少ないのでしょうけれども、経常利益がおよそ50%
を超えるなら物流コストは問題にもなりません。製造業でも20%を超える経常利
益を誇る企業もあれば、35%をずっと維持しているリクルートという出版社もあ
ります。こちらの企業も人材関連とは言え、書店やフードショップにフリーペーパ
ーを毎日配送している物流の超お得意先です。
 
家電業界はEU圏で苦戦しているそうですが、日本、アメリカ、EUの3大市場で
独自の戦略を取らなければ、価格競争だけではマーケットを席巻することはできま
せん。韓国勢が好調らしく、確かに低価格勝負が効いているようですがマーケティ
ング面でも負けているのも事実らしいのです。
 
●ブランドイメージや消費者認知、価格、店舗での展示シェア、アフターサービス
網によって家電のパワーは発揮できますが、そこでは物流コストなど二の次の課題
になっているはずです。広告宣伝費というのは売上高5%をはるかに超えますから
ね。コストダウンよりも品質やサービス、マーケティングの勝負というのも正論で
すから、顧客と自社をつなぐ作戦にはコストだけというわけではないのです。
 
時間という資源に対する効率化と利益というキャッシュに対する効率化、ドッチが
大事かという問題を抜きにしては、これから効率化を口に出すことは避けてゆきた
いですね。

 

●2年ごとの物流展で、人のソリューションを扱う展示はほとんどありません。大

リーグギブスの逆仕様のような、パワーアシストができる機材を発表していました

が、まだまだ実用化できていないし、作業者がリフレッシュできるためのオゾン、

森林浴ブースもない。ましてや喫煙率が絶対高いはずなのに、簡易喫煙ドームみた

いなモノもなかった。あるのは機材とモーターとデジタルカウンターマシンという

生産性の制限がすぐに分かるような、投資額と回収計算がすぐには分からないよう

な、ある意味では絶対割高になるよねぇ、っていうハードマシンばかり。

 

ソフトウェアは自動認識展示会と重なっていて、WMSがどこにも見つからない!

っていう不平も聞こえてくるくらい、ハードソフトを駆使したソリューション展示

がなかったですね。

 

誰でもそうですけど、10%の時間で半分の仕事をこなせる、ということは、人の

生産性は測定以上のガンバリが期待できるわけで、そのためのやる気やリフレッシ

ュができるためのハード&ソフト展示が見つからないのは、残念なことでした。

 

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