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■■□■■ 物┃流┃現┃場・見┃た┃ま┃ま・感┃じ┃た┃ま┃ま┃ □
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□■■ 2012/9/15 NO.485 □□■
■■ 『物流コストは必要経費』 制約条件を外す □□■□
■ 物流改善ヒントhttp://avance-tokyo.com □□■□□
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■間もなく半期の〆に入ります。前半戦が終わっての評価作業となるわけですけ
ど、物流部門はいつもコスト指標が最重要として厳しいチェックがはいります。
さて、コストの責任は物流部門だけにあるのか。決してそうではないことを改め
て見直してみましょう。
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●物流費の機能別分析
いずれの企業でも、受託事業の内部コストや支払物流費の削減に効果的な施策が
見えなくなってきています。物流費は、保管、作業、配送の3大要素の他に、情
報システム費、梱包資材費、その他物流資産を管理するための費用が含まれてい
ます。
最大の経費は、配送費で総費用の5割を超えることもあります。では、この運送
費用を削減するために今までどのような施策が取られてきているかと見てみると、
値下げ交渉以外に知恵ある対策はあまりありません。
●運送費の手の入れ方
単に配送単価料金の値下げ、装備している車両やコースの削減、少し努力して他
事業者との共同配送の実行というところでしょうか。配送運賃の原価構成を見る
と、約4割はドライバーの人件費ですから、平均年齢を下げたり、傭車といった
再下請けへの委託などで手が尽きます。単価はもう下げられない、だから配送回
数の削減か一日当たりの配送頻度を上げて車両稼働率を上げるしかないでしょう
●保管費への取り組み
「入出荷費用と保管単価契約だから、保管費は変動費だ」とうまい契約と信じて
いても、実際に占用している倉庫やセンターの内部費用が値下げ余力に抵抗しま
す。坪借り契約で、高さを活用した保管効率を追究すると、作業能率が落ちると
言うことで荷役作業量が同じように下げ止まります。保管費用は全体コストでは
最も少ない部類に入りますから、「空間を利用する保管効率の追究」というのは、
ほとんど効果がありません。
●作業費への工夫
今時は物流管理システムでロケーションメンテナンスやバーコードラベルを利用
した作業システムの導入が珍しくもありませんが、そのシステムがないときから
比べて作業の生産性が本当に上がっているのか。システム装備の投資が回収でき
るほどに使い込まれているのか、というと「まさに回収途上です」ということで、
委託側にはほとんどメリットがない状態もたくさんあります。作業コストの根拠
が投入労働時間で時間単価であるなら、どこにも生産性効果は現れませんから。
●情報費用の功罪
WMSに代表される物流管理システムの目的は、システムがないことによる費用
の削減効果をうたうものでした。でも、回収効果は投資を行った側だけが手に取
れるもので、委託側には3大費用の他に「情報装置利用料」が取られるだけの、
仕方ない費用と見られています。確かに、手作業で在庫帳簿を付けろということ
は恥ずかしいので、何となく取扱い伝票行数に応じた費用や固定費を負担してい
ます。
●物流費の根元は何か
メーカーの物流子会社は、実物流の事業者の管理費用だけを認められながら、継
続的コスト抑制策を採り続けなければなりません。親会社への経費削減効果だけ
を、会社存続の目的とされてしまっている以上、何が何でも強引さを控えながら
の力関係で交渉することが筋になっています。
コストの根元はずばり、在庫保有の方法にあります。在庫の持ち方や配置方法へ
の施策が、すべてのコスト要因になっています。当たり前だが真剣に議論が尽く
せていないのが、現実ではないでしょうか。
●在庫がなければ、費用は生まれない
生産工程を出てしまった完成品在庫は、「未実現利益」といってキャッシュその
ものになります。経営上は、まさに「売れたらうれしいキャッシュ」ですが、
「売れなかった時には悲劇」の固まりです。営業力にもよるけれども、市場で需
要が上がらなければ過剰、不動となって動きが取れなくなります。
ムリして売り込めば、配送費を掛けながらもいずれは返品となって、ダブルで配
送コストが掛かります。作業も当然に、二度三度の手間となってきます。
生産工程を市場の需要にどうやって合わせたらいいかを突き詰めたのが、デルコ
ンピュータやトヨタカンバン方式ですよね。
いつも、生産工場を視点のスタートとして考えれば、在庫は数日分、多くても1
ヶ月分の生産や調達(海外調達も増えてきましたが)で在庫を抑制できる。
抑制しようとしないで、生産や販売の都合で在庫を増やしてきたのが、物流コス
トと言う症状で見られているのが実態です。
●物流コストの制約は、生産と販売の古いしきたりにある
今日の注文は、明日の時間指定に届けなければならない という、営業マンの意
見は「顧客の購買代理人」としたら失格です。店舗や得意先のバックヤード(保
有在庫)を見ていないから、納期が厳しいのです。
ロットで製造したから倉庫やセンターへ送り込むことで、在庫がふくらむのは生
産計画担当の力量不足です。市場の需要が読めないから、営業の販売計画が不正
確だからといって、製造コストのためだけでロットを維持するのは、自己都合で
す。
需要に合わせた生産調達こそが使命で、自由度を高める生産工程の組み替えが現
場の力量を表す指標です。
●ムリして売るな、ラクしようとして作るな、物流にミスを起こすな
販売過剰、生産過剰がデフレ市場を生み、ミスが無くならないから仕事が減らな
いという現実を見てくると、苦労しても浮かばれないマッチポンプの物流が残り
ます。
売上至上主義を唱える人は減ったけれども、すべてを癒してくれる分かりやすい
指標が売上高だから、押し込み販売が無くなりません。グッヅがバッズになって
いたとしても、これを止めようとしません。
生産現場の稼働時間や時間生産性、製造原価だけを見ているから、作りすぎても
責任を販売に転嫁して協調を失います。
空いた時間で新商品開発や作っている原価をみなすことが求められています。
販売価格が下がっているときに、何を売るのが効果的か。そのための生産方法は
どうするのか。売れないときに、どうやって経費を掛けないようにするのか。
ただの値下げでなく、瞬発力を高めたままでのコスト抑制には、どんな業務の流
れを維持させるのかということを考えたいものです。ミスは徹底的に排除して、
原因を常に潰し続ける仕掛けを取り込みたい。
●制約条件は困った問題ではなく、原理原則を見直すきっかけと見よう
どの配送に効率が上がるのか、どんな在庫の持ち方が保管費を圧縮できるのか、
作業要員の計画はいつどこで誰が立てるのか、そして物流活動にムダとミスを無
くすためには、どんな作業の目標を持たせたらいいのか。
有効性と合理性の問答を繰り返しながら、最少の施設と規模要員でこなす物流に
は、危うさと美しさが一体になります。物流には自立的な要素は何もありません。
市場の需要と販売と生産調達の力関係で、最小コストを継続的に実行するバラン
スの技術です。改善完了と共に動き回る制約条件を見つけ、手を下していく活動
こそが物流部門の役割です。
●これからの物流改善対象は、コストから環境保全へ向かう
企業の存続には経営使命からのコスト抑制も当然でしたが、今後はコスト以上に
法令責任や環境保全が求められています。排ガス、騒音、近隣への迷惑といった
環境対策をどれほど自覚するかで、企業の評価が変わります。
環境への配慮こそが、工場と物流に求められる新たな課題です。コストとはトレ
ードオフの関係なので、新たな悩みが生まれます。
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