物流改善のヒントと最新の現場動向を紹介します。業種を越えた改善手法や最新
の理論と手法を物流現場に導入することができます。
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■■□■■  物┃流┃現┃場・見┃た┃ま┃ま・感┃じ┃た┃ま┃ま┃    □
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□■■    2012/10/25 NO.488                □□■
■■     『会議を踊らせない秘訣』事実と意見、これだけは分ける □□■□
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●1930年ナポレオン投獄の時代 欧州をどうするか?「会議は踊る、されど進ま
ず」というのが映画の中で語られます。当時、目の上の大コブがようやく投獄され、
この世の楽園を組み直そうと各国の首脳が集まり、善後策を会議すれど決せずに、ダ
ンスとロマンが生まれる。そんな映画です。
問題が起きたとき、対策や善後策を衆知を集めて会議が開かれます。具体的な効果的
な結論が出せる時と、時間ばかりが虚しく過ぎていく時と、どちらが多いでしょうか。

●問題が共有化されていない、認識が不揃いである
物流現場では毎日が事故や問題発生の連続ともいえるでしょう。何事もなく、穏やか
に終わる日など全くない。まるで、毎日が火事場のようだ。同じような症状は繰り返
されるが、同じ問題は起きないように抑制していくことが改善であり、仕事なのです。

問題とは何か、真の原因は、対策の優先順位、問題点の列挙から抽出、対処すべき課
題、という発言をお聞きになったり、ご自身でも発話することがあるでしょう。
「私は問題と思う」「いえ、私には偶然のミスによる事故ですから大丈夫、再発はな
いと思えます」とあれば、意見は対立し、認識が間違っている、事の重大性と緊急性
を勘違いしている と紛糾することひんぱんでしょう。

●文化系の発言、理科系の発言
認識とは何かと始めると、「分るとは何か」「判断とはどんなことか」「心はどこに
あるか」等々まで広がってしまいます。同じように問題とは何かとすると、価値観や
育ちまで本当は遡らねばなりません。人によっては問題であるとか、問題無しだとか、
価値観はその人の生まれや経験、出自の違いまで影響しているからです。

売上が上がらない、経費が下がらない、品質が
落ちてきている と信じて疑わない方から見ると、大問題です。前線の営業所ではこ
の時期は端境期だから、低迷は季節変動と同じ。経費削減計画も、期末までには予定
を消化できそうだ。品質も、当事者から見れば不良発生率は母数から見ても少ない。
実際にこのような状況での「問題対策会議」というのは、よくよくあります。
招集されても、当事者は問題意識がなく、通常のブレや波動だと思っていれば、会議
の目的は説得とかしのぐとか、あんまり良い意味ではありませんが。

文化系というか文学思想主義の方の発言と理科系理論派の発言は、「問題」の定義と
意味がことごとく異なることがあります。「大問題です」、「いいえ再発可能性の低
い事故です」とは、対立の最たるものです。

●問題と問題点 を使い分けませんか
立場を問わずに解決しなくてはならない状態のことを、「〜という問題点がある」と
いうようにして、単純に困ったこと、良くないことを「問題」としてはどうでしょう。
問題点を共有化することは、解決のための議論や対策を考えることになり、より具体
的、事実に立脚した証拠を集めた会議が開けます。問題の価値観や意見はこの際なく
なるから、会議は踊らなくなるのです。

問題点とは、因果関係のはっきりした困った症状 ということになります。
以下はただの事実を羅列しているに過ぎず、問題点表現ができていません。

・売上が上がらない→予定していた時期に額が届いていない。原因は分らない。
・経費が下がらない→予定していた時期に額が下がっていない。原因は分らない。
・品質が落ちている→過去の平均から見ても発生率が上昇している。原因は分らない。
さて、事実を表明する事の意味は、事実を知らない人に説明しているだけになります。
データやグラフを会議で利用する事が多いでしょうが、それもただの事実解説に過ぎ
ません。会議前にメール配信や掲示しておけば十分ですね。配って説明する事自体が
時間の無駄になります。

さて事実説明の時に
 
『〜〜が〜〜なので〜〜できていない』というきれいな表現ができるなら、これを問
題点ステートメント(表現)と呼ぶ事をおすすめします。複数の原因や5W2Hが網
羅され、少なくとも主要な原因と結果が言い含められます。事実の背後関係や理由、
事情や症状がより詳しく解説する事が出来るようになるでしょう。

原因は常に複数あって、複合的に絡み合っているものですが、このステートメントに
表現することで、「このほかにも、◇◇の要素もあるのではないか」という発展が期
待できます。

●Problem & Opportunity 問題点とチャンス
問題点とそれを解決することによるチャンスは、表裏一体です。でも、単なる個人の
意見である問題表現や事実の羅列では、チャンスからはほど遠いことになります。

学生の頃に「理科系の文書術」というのを習ったことがあります。事実と意見をきっ
ちり分けよ。意見には反対者もいる、事実は証拠で固められる、表現は「とにかく大
変だ〜」と頭の中で叫びながら、手短に伸べよ。

売上が上がらない、経費が下がらない、品質が落ちた、・・・事実と意見とごちゃご
ちゃです。誰も説得できないし、対策も考えられません。金がない、時間がない、恋
人がいない、・・・これもごちゃごちゃです。

いくら不足しているのか、どれほど時間が欲しいのか、どんな恋人をどうやってつか
まえたいのか。そこには、どんな問題点が起きているのか。・・・・・すると、対策
も答えも見えてくるものです。人の意見も役立つものです。積上げていけば、解決で
きるようになります。

問題点をきちんと述べられれば、解決の方策も見つかり、チャンスが開けるのです。

◎◎演習◎◎
■売上が上がらない、という事実を発見したら
 ?単価ですか、回数ですか?
 ?下がっているのは、どの顧客層でしょうか?
 ?下がっているのは、どの商品群でしょうか?
 ?逆に、上がっているのはありませんか?
 ?販促活動の効果も下がっていますか?
 ?市場規模が縮小していますか?(同業他社の商品群は伸びていますか?)
 ?新規開拓が進まないのですか?
 ?単価が下がるには、顧客側に理由がありますか?
 ?販売回数が下がるのは、顧客側に理由がありますか?

→ 大体これ位の質問に備えたデータを準備すると、背景や原因の一部が見えてくる
でしょう

■経費が下がらない、という事実を発見したら

 ?どんな費目ですか?
 ?その費目の推移はいつ頃から、始まっていますか?
 ?費目の有効性(費用対効果)はどうなっていますか?
 ?費目を別用途に変えられませんか?(人件費→業務委託費)
 ?予算管理にその費目が含まれていますか?
 ?それぞれは、誰が進捗と予算を見ていますか?
 ?費目を押さえると、どんな影響が出ますか?
 ?影響対策に、費用以外で代替できるものはありませんか?

→ 経費は分類、分析、用途、費用対効果、管理者、対象を整理することで、お金の
使い方や生み出す価値を改めることができるものです。

踊る会議は楽しくないです、複雑な症状を細かな事実に分類してゆき、大きな原因要素
を見つけ出す事が出来たら、これは実に楽しい改善作業です。
会議を楽しむ方法もあるのです、お菓子や飲み物ではなく、嬉しい会議を開きましょう。
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