物流改善のヒントと最新の現場動向を紹介します。業種を越えた改善手法や最新
の理論と手法を物流現場に導入することができます。
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■■□■■  物┃流┃現┃場・見┃た┃ま┃ま・感┃じ┃た┃ま┃ま┃   □
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□■■    2012/12/25 NO.494                 □□■
■■     『今年を振り返りクリスマス』メリーは恵み?     □□■□
■      物流改善のヒントhttp://avance-tokyo.com      □□■□□
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■物流専門誌「ロジスティクス・トレンド」を紹介します。今度発行人になりました。
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物流企業だけでなく、広く物流に係わる不動産、建築、金融、ITといった幅広い企業
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物流とシステムに限らず、「不動産戦略」「人材開発」「国際ロジ戦略」「倉庫リノ
ベーション」といった多角的な紙面にします。
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■Y=C+I 言わずと知れたマクロ経済学のGNP計算式です。新古典派経済学の
大家、ポールAサミュエルソンは亡くなりました。分厚い2冊「経済学」は大学生な
らずとも近代経済学の入門教科書でした。所得は消費と貯蓄、生産も消費と投資に分
割できるから、内国経済の投資額と貯蓄額は等しくなる。

●我が国はバブル崩壊後から次の産業育成として、金融業界に白羽の矢を立てました。
雇用は少なくても付加価値生産性が高く、しかも国際競争力は技術ではなく知識で
すから十分に勝ち目がある。人口が減り、高齢化しても金融サービスで我が国を支
えるはずでした。小泉竹中体制での自民党政策は、金融業界偏重によって構造改革
が進んだのでした。切り札は郵便貯金と簡易保険の資産800兆円です。

●金融業とは預けたお金を貸しつけて利子を取るというビジネスモデルだと思うで
しょう。100万円の貯金を誰かに貸して105万円を収入とする、というのは勘
違いです。

民間株主の日本銀行(政府は55%しか保有していません)と銀行とは集めた預金
のうち、倒産防止のために準備率(現在は0.1%)を積み立てて残りを貸し出し
ますから、計算上では100万円の貯金は10億円の貸出ができるのです。
ですから利払い収入は5千万円、預金の50倍もの粗利が稼げるのです。
なのに破綻した政府系銀行や単独では事業が継続できない合併銀行の多さに、金融
産業志向は難しかったと言わざるを得ません。

●リーマンショックの本当の被害者は、この事件によってアメリカの信用が失墜し
た結果のドル安=円高という為替状況です。日本と中国はアメリカ国債(3%程度
の利回りがある優良債権)を互いに30%程度を持っていますから、それだけで膨
大な為替損を招きました。

昨年末、我が国は60億ドルの残高がありましたが、今年の夏には73億ドルです
1ドル120円から80円まで円高が進んだために、約30兆円の為替損を起こし
ています。30兆円が仮に日銀介入などの金融政策で為替損を防げたら、失業対策
やら税収不足は一気に解決できたのです。新聞の書いていない大スキャンダルです。

●不況の話は気分が暗くなりますが、株式市場や為替市場という金融業界はどんど
ん活発です。特に証券市場では株価の乱高下は儲けるチャンスです。株価は上がっ
ても下がっても儲けができるようなマネーゲームなのです。為替も同様に自己資金
だけでなく、レバレッジという方法で信用取引や先物取引では儲けるチャンスは限
りなくあります。

マネーゲームと言うギャンブルは、他の宝くじや競輪競馬パチンコと違って無税で
す。取引額は証券市場で700兆円、為替では1京円という過熱状態です。加熱と
言うより活発で元気が良い産業と言えるでしょう

金融業界は都市銀行実態では赤字、公的資金の返済途上にあるのでしょうが、証券
と為替は爆発的なエネルギーを秘めて活発に取引が行われています。

我が国が新たな成長戦略が描けずに苦戦しているなら、代替産業としてのマネーゲ
ームに税収を求めたっておかしくはありません。トービン税というのは、株や為替
の取引に対して税をかけるものです。フランスもドイツも導入し始めていますが、
これもマスコミには報告されていません。

わずか0.1%の税金をかけることで為替の安定と莫大な税収が期待できます。
株式市場だって増資や新株で取引されているのは15兆円程度ですから殆どはマネ
ーゲーム、つまりはギャンブルです。25%の胴元税がかかる競輪競馬と違いはな
いのに、金融優遇政策は誰も言い出しません。

●民主党への政権交代は何だったのか。自民党政権では何を行ってきたのでしょうか。
今年はどう変わるのでしょうか?政治は外交と国防、税と執行に尽きるのですが、
自民党の税制は間違っていたと思います。消費増税は実行段階に入れば、再びその意
図と効果に疑問が生まれるでしょう。

なにより消費税は福祉のためではなく、法人減税の穴埋めだったと断言できます。
調べました。89年に消費税が導入されたとき、同時に法人減税38%から35%
になっています。それが現在は30%となり、大企業優遇が進んでいます。

税は所得税にせよ法人税にせよ、安い方が良いに決まっています。けれども限度が
あるはずだし、税収が少なければ福祉や公共投資ができなくなるからです。

89年当時の法人税収入はGNP比率で4%でした。今は2%を下回ります。
国を支える税は、所得税と消費税に変わったのです。消費税は300兆の5%です
から15兆、つまりはGNP比率で3%となり法人税負担を上回ります。

このことすら民主党マニフェストには書かれませんでした。政権交代は大きな流れ
で言えば、アメリカ形資本主義からEU形福祉主義へのシフトであったはずです。
行き過ぎた格差実力主義から、高齢化にふさわしい均一社会への移動だったのです
(OECD30カ国のなかで、日本は貧困率は第4位まで上がりました)国際競争
力は自民党政権ではちっとも改善されなかったのです。

●国防では冷戦終了後の仮想敵国を中国としているのに関わらず、備えも体制も変
わっていません。アジアの成長は羨ましい限りですが、危険も伴うカントリーリス
クの塊です。沿岸地域だけが中国ではなく、内国も含めた共産主義体制は我が国と
は相反する社会なのです。そのことを忘れてはイケないし、いざと言う備えが必要
なのです。

●物流業界は物量の低下をなにより重要な環境変化と捉えなくてはならないのに、
依然として効率だ改善だと騒いできました。低成長下では、物量の改善には限界が
あり、効率よりは停止が良いに決まっています。もし残されている余地があるとす
れば、能力向上ではなく機能転換による販売協力、生産代行という範囲の経済性を
目指すのが本来です。

小売業の停滞は販売チャネルとしての通販事業へのシフトが必要で、さらに訪問販
売、職域販売まで手がけるには物流の支援が欠かせないからです。
生産工場が徐々に外地へシフトすれば、内国物流の仕事はなくなりますが、生産の
代行を心がければ職場は維持できるのです。

物販からサービス産業へのシフトが進めば、さらに物流の役割は広がります。同じ
ように労働集約型のサービス業でも、モノにかかわる仕事は物流業者へのシフトに
よって「ヒトの役割」が変わるからです。

病院でも看護師は薬と医療品の手配や管理にほとんどの時間が費やされています。
患者さんとの時間を最大限に活用するには、物流マンの役割は多く残されているの
です。

●クリスマスケーキが小さくなっていました。デフレ、低価格販売、コスト削減、
売れ残り回避のためでしょうか。各社のケーキは小ぶりになっています。単位価格
の操作のために重量を減らしているのか、ダイエットブームだからでしょうか。

痩せるボケないキレイになる、というキーワードから外れる商品は動きが鈍く、新
商品の余地が減ってきています。けれども私たちはマクロ経済で仕事をしているわ
けではなく、政府や外国との取引で心配になることもないのです。

仕入れ先と従業員と取引先をすっぽり覆うようなコップの中で、最適最大を目指せ
ば良いのだから、まだまだ手を尽くしていないところが残されています。
商店街では店売が減るなら通販を仕掛けてあげれば良いし、工場で生産量が減るな
ら物流でつないだ巨大共同工場を作ることで、生産の一気通貫が可能になります。

分断されている組織をつなぐことがSCMですから、まだまだ中小零細には物流の
活躍する余地が残されているのです。

●やるべき事があるけれども、やりたくない、という心情はこれからの組織や会社
の不安です。物流業界でよく行われている人材教育や開発にメスを入れる必要があ
ります。高度なマテハン機器、優れた情報システムが導入されても依然としてミス
や事故が続き、思うほどの成果が生み出せていない現場には、モラルの低下やモチ
ベーション不足が上げられます。

だから人材教育研修、となるわけですが方法論を変えなくてはなりません。なによ
り物量低下の状況では改善効率の追求方法が変わるからです。
ワークシェアリングを行いながら効率を追求するなら、一人当たりの労働時間短縮
が求められており、成果報酬とは異なるからです。

●スマートウェア、人材開発の残された方法が来年のブームになるでしょう。販売
支援、生産代行、サービス産業への物流発展は、人材の開発が欠かせないからです。

気づき、予見して、チームで動く物流。倉庫やトラックと言う資産ではなく、物流
マンのセンサーとしての役割が高まってゆくことが物流業界の切り札になるからで
す。産業の上流工程を知り、下流工程への進出が物流の次のステージだからです。

来年、どんな物流テーマが登場しようとも、スマートウェア以上に大切な話題は少
ないでしょう。

また新年にご案内を申し上げます。
本年もご愛読をいただき、ありがとうございました。
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