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●新春恒例の経営者談話では、依然としても厳しい経営環境を従業員に向けて訴え
ています。「変えよ、チャンスを探せ」というのが共通項のように聞こえました。
再び政権が自公民に戻り、公共投資が約束されています。国土強靱化という防災投
資が盛んに言われていますが、赤字国債を乱発しての景気回復が後世への言い訳に
ならぬように願うばかりです。金融緩和や規制解除が民間活力に本当につながるの
か、デフレ脱却にどれだけ政治に期待して良いものか、夏までの半期が勝負ですね。

○変えよ、ということから視点の持ち方、考え方の位置づけ、スタイルについて考
えてみようと思います。
最初に時間とお金の問題です。不思議なことにこの二つは幸福感という感情と同じ
ように、計測できるけど計測結果が効果につながりません。つまり、お金も時間も
量や額ではなくて、その対象というか使ったモノが大事なのですよね。

勉強時間が多ければ多いほど成績が伸びるか、というとさにあらず、暇な人と忙し
いヒトとでは持っている時間が違うか、というとそうではありません。お金も似た
ような性質があって、どれほどのお金の量が大事かというと、1万円をギャンブル
に使った充実感より子ども達にお年玉で配った幸福感が大きいように、額ではなく
効果なのです。

○ボランティア活動の意義は、自らの充実感や社会的な責任感に基づくものでしょ
うが、費やした時間や寄付などによる金額と充足感は比例しないはずです
重要な仕事や判断・決裁を自由時間の多い人と忙しく立ち回る人のどちらが正確に
実行できるか、というと後者の方です。

自分のやりたいことだけを消化している人と、ボランティアなどの公共奉仕にも自
分を費やしている人との幸福感は格段に異なります。しかも、時間の余裕度は後者
が圧倒的に充実しています。

○つまり、変化志向の改善視点の持ち方として、計測可能かどうか、さらに計測が
効果や効用と関係性をもっているか、というそもそもの状況理解が大切になるわけ
です。

変えよ、といはいうもののどのような指標や状態を目指さねばならないか、そのた
めの打ち手として、どんな方策が本当に効果的と言えるかどうかもはじめに検討し
ておく必要があるわけです。

○経営指標としては売上や利益、一人当たりの充足感が重要になるわけですが、こ
れだけ非正規雇用や臨時従事者、ビジネスアウトソーシングが経営実態に含まれる
ようになると、企業ごとの売上や利益額、一人当たりという一人とはどこまで含む
のか、という根本的な質問に答えておくことが必要になるのです。

ただ闇雲に測定指標を高めることを改善と決めつけるなら、便利な方法もあるでしょ
うし、効果がほとんど役に立たないと言うこともあるのです。
例えば、物流現場で最近採用されてきているKPI(重要性能指標)というものがか
なりあいまいです。去年と今年とをどうやって比較するか、というと作業の生産性や
投入コストの比較などで行われているようですが、運営状況の変化を十分に反映する
ことができず、単年度の比較はできても、翌年度は商品が変わった、単価が違う、販
売状況が変改した、などという理由でもはや測定の意味がなくなっている実態があり
ます。

○特に全体コストの比較では、物流費用は削減する必要はあるものの、その原因は物
流活動にあるわけではなく、生産や販売の外部環境に大きく依存しています。ですか
ら、単年度ので値下げ交渉や作業効率の改善によってコストダウンが実現できても、
翌年は全く同じ手が通用しないということになるのです。

そもそも現場レベルで改善効果などは、販売と生産の組織改革(アウトソーシングと
か代理店制度の変更、取引先の改革)などによって、物流条件ががらりと変わります
から、金額比較の意味すらなくなります。そして、在庫の持ち方、物流拠点の配置方
法によって、物流コストは大きく上下するからです。
現場の改善では全く歯が立たない、というか効果すら意味がなくなる事態が生じるわ
けです。

○ポジションから見て中立、逆転、ずらし、という視点を持つことが大切になってい
ると言えるでしょう。例えば、売上を上げようと競合と真っ向から対決しようとする
と、極めて分かりやすい最高の戦略が値下げという作戦です。「高いから売れない」
と決めつけることで、売上が実は顧客の自社支持率なのだ、という視点を失い、売上
を維持することがそのまま顧客の急拡大となって、支持率を維持するための方策が不
十分となってクレームやブランドが低下するという事態など、典型的です。

○売上はどのような商品、サービスでも平均売価単価×購入回数で示されますから、
売上減少をどちらの要素が影響しているかを考察する必要があります。単価なのか、
回数なのか、どちらが競合とぶつかっていて、自社の支持率が落ちてきているかを見
ないで、値下げや過剰なサービス提供が行われても、結果的な顧客キープ力がどんど
ん落ちていく事態が起きてしまうのです。

○同様に事業部別の利益計算でも、経営活動資源に何が使われているかによって、成
果は全く異なってきます。例えば、生産活動は単純に機械と労働で計算されますが、
サービス業は外部資源を多く導入というか、採用しているはずです。店舗のような形
のある資本設備や仕事の部分的なアウトソーシング、仕入れ、業務委託などのビジネ
ス構造そのものが複雑に構造です。

これは物流現場でも同じで、マテハンや機材、ツールをどれだけ投入しているか、つ
まりは資本投下の額によって、労働の生産性は全く変わってくるのと同じです。逆に
言うと、設備投資をしなければ労務コストは下げることができない、というジレンマ
にもつながっています。それなのに、経年比較や年度比較目標を定めることの意味が
どこにあるのか、一度振り返らなければならない点でしょう。

現場の見える化ブームで、何でもかんでもグラフや数値を掲出することで、むしろ現
場の直面している課題が見えなくなる。見ていても見ていない、見えても行動しない、
という現実が多く増えてきていることも見逃せないです。

○SCMブームの次は、S&OP(セールス、オペレーション、プランニング)とい
う売ること、事業の運営、それらをキチンと計画しようね、というのが流行になって
います。物流現場に営業部隊が配属されて、在庫を見ながら販売を続ける、地に足の
着いた営業活動が、売上が上がっても在庫が増えずに利益が生まれるしくみ、という
高評価を受けているのも、あたりまえじゃない? 実は視点の持ち方によって生まれ
た解決策なのです。

○従来なら売上を確保するために、新商品の投入や在庫の積み増しが必要でしたが、
実は資金や利益はマイナスとなる傾向がありました。無理な販売が在庫を増やし、利
益を削るなら、それは本末転倒ですが、従来の経営指標や感覚では許されてきた施策
です。この辺りに、今年度の巡航課題があるのだと思います。



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