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■デフレ脱却政策が起動し始めています。
株式市場、金地金取引、不動産価格などが上がり始めて、春闘でも満額回答が出まし
た。これで給与も上がり始め、それ以上に物価も上がってくるでしょう。日銀の成果
ではないですよ、自民党政権への風の流れが変わった、心理的効果です。
●アベノミクスでは、3つの柱を提示しています。1)銀行から国債を買い上げる、
という金融緩和。2)中断していた土木、道路、橋、トンネルなどの保守・増強・拡
張工事。3)新成長産業としての、7分野への新規助成・免税・規制緩和。そして心
理的要因で、円安、株高が起きています。
●これで景気は上向くのでしょうか。景気とは、日本経済の成長とは、物価水準やG
NPの増額を意味していますが、物価の2%アップは過去25年間で計測されたこと
がありません。
GNPはすでに2007年、リーマンショック前がピークで510兆円あまりから、もう
10%以上下落しています。実際には460兆円近辺なので、ニュースでも実額を放
送するのが控えられていて、四半期ごとの変化率をプラスだ、マイナスだと報じてい
ます。
●日本の人口が減り始めて、15〜60歳の勤労世帯が減っていることのインパクト
は巨大です。何しろ、我が国のGNPは300兆円あまりが小売流通での付加価値額
だからです。小売を支えているのは、毎日のお買い物ですから、我が国は家計によっ
て支えられているのです。だから、消費税はとてつもない税収になっています。
すべての産業の売上高は、経済センサスによると1302兆円、付加価値額は242兆円。
企業数は409万社、従業員は5632万人です。いずれも当然のように、前年から下がり
続けています。
政府の言うデフレ脱却、景気回復とは、このような統計データで下げ止まる、安定す
る、多少伸びる、というようなレベル感を指しています。リーマン・ショックで3割
下がりましたから、戻るはずもないのは明らかなのです。
●売上が伸びないから苦しいので、更に価値ある活動を目指そうと言います。付加価
値の追求というと、なんとなく粗利の高い商品を作ったり販売したりすることを考え
ていますが、間違えています。
付加価値とは、利益+人件費+投資の減価償却+支払い金利 を指します。
付加価値を上げるとは、利益を増やす、人件費を高める、投資を増やすなどの様々な
手法が選択できるのですが、利益を確保するために人件費を下げる、という手法が今
までずっと取られてきていました。
私たちは見逃してきましたが、デフレのために、利益を出すために、人件費を差し出
して来ましたが、これは明らな誤りだったのです。
●デフレ脱却のために物価を上げて、業績を回復させてから給与を上げるだろう、と
いうのが、アベノミクスで総理が主張しているこだわりですけど、ミスリードも甚だ
しい事態だったのです。
同じものなら価値あるものが良い、価値=価格だから、より高ものが売れるように仕
向けたい、価値のある活動を目指すのは善ですけど、価値と付加価値は別物に気付か
ねば失敗します。
●小売業のダイエーは業績回復を急ぐあまりに、全店舗での生産員比率を更に下げて、
人件費の圧縮を行うと広報したのは、2月のことでした。
3月に入り、ローソンは人件費の3%アップを公約し、それに追随するように春闘は
軒並みボーナス、ベースアップ、賃上げの決着を呼びました。
人件費のアップは、家計所得にとって大歓迎です。お買い物の余地が増えるからです。
更に企業にとっては、付加価値の増加をもたらしますから、業績も好転するはずです。
付加価値率が上がるとは、ただ人件費を上げて放置するのではなく、生産販売活動に
コストアップ要素を受容することです。
●コストアップは何をもたらすか?今まででしたら、その分の利益が減ってしまった
でしょう。デフレなのに、人件費を上げる逆行策とはいかに?
世界同時不況でどこもが苦労していたはずなのに、アメリカは回復を始めています。
欧州も国家危機が抑えこまれそうになり、失業率は高止まりですか、日本以上に雰囲
気は良くなってきています。振り返れば、こんなに長くデフレ状態が続いたのは日本
だけで、その原因は物価が下がり続ける以上に、給与が下がったのが原因でした。
労働組合の活発な国は給与と雇用を固辞するので、失業率が上がります。
日本は失業を防ぐために、給与ダウンを受け入れました。組合が妥協するからです。
●価値ある活動に給与は欠かせません。改善や提案、外部への働きかけが必要な時代
で、人件費を削れば無責任社員が増えて、不十分な姿勢ではどれだけ人がいても完全
な業務を行うことはできません。
給与が働く人の全てではないけれども、政策の転換に賃金アップは大歓迎。更に価値
ある活動を目指す気分に変わります。
付加価値を高めるために、今まで手抜きしてきたこと、忘れていたこと、わかってい
ても後回しにしてきたこと、気づいていても自らが避けていたことに着手する時期に
なりました。
正当な報酬を受け入れ、価値ある活動を目指す時、デフレからリフレ状態への移行が
進むでしょう。現場にも活気と明るさが出るはずです。
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